とやま呉西圏域共創ビジネス研究所第3期修了式が開かれ,研究生が約6ヶ月間にわたり学び構想した事業プランの最終プレゼンテーションと修了証の授与,参加者による座談会がおこなわれた。修了式には,髙橋正樹高岡市長,武山良三富山大学理事副学長,富山呉西圏域行政関係者,富山大学関係者,協力金融機関と後援機関の関係者,報道関係者など約50名が参加した。
9月9日からスタートして11回の講義でディスカッションを重ねて熟成させた事業プランのプレゼンテーションを大変楽しみにしている。地域の活力を保つことが日本全体の活力を保つことになる。東京・大阪・名古屋への人材や資金・技術が集中して経済の中心であったことが長く続いていた中で地方が疲弊していった。2010年以降日本の人口減少が表面化し,大都市への人の流れを是正する動きがでた。これまで高岡での創業率も全国でもかなり低かったが,ここ数年は全国平均並にあがっており地域の活力が少しずつ動き出している。
このとやま呉西圏域共創ビジネス研究所は高岡市でスタートした事業で産官学金がそれぞれの応援で地域を何とかしたいと学び考えブラッシュアップして実際のビジネスに成り立たせていく場であり,本日は皆さんの思いと磨き上げてきた事業の発表を楽しみにしている。それぞれのプロジェクトを応援していただき,将来の地域を支えるビジネスの種が大きく育つよう祈っている。
第3期修了式を向かえるにあたり,富山呉西圏域および中部経済産業局北陸支局,財務省北陸財務局富山事務所,中小企業基盤整備機構ならびに地域金融機関肇関係者の皆さまに厚く御礼申し上げる。富山大学は地域活性化の中核拠点となるべく地域のニーズに応じた人税育成に積極的に取り組んでいる。地域人材育成事業は呉西圏域,魚津市,和歌山県田辺市にて展開しており来年度から南砺市でも予定している。これまでの取組では様々な外部から評価を受けており,関係機関からの支援をいただき続けられていることは大変喜ばしい。
地域の資源を見つめ直し地域にある課題を見つけてそれをビジネスにつなげていくことを学んだ昨年度までの研究生は新しいビジネスを立ち上げ成果をあげていると聞いている。本日は今期の研究生の皆さんの成果が発表されると楽しみにしている。産学官金が連携した本研究所は今後まだまだ成長の余地が残されている。今後も関係の皆さんと密に連携を強化し一層充実した研究所に発展させ地域を牽引するような新しいプロジェクトが数多く生まれることを目指している。
自治体と大学が連携しこのような取組がおこなわれることは,地域創業を応援しているので非常にありがたいことである。この場に参加してきた勇気ある皆さんに敬意を表したい。11回の講義を重ねられ更に魚津の塾や補講にも臨まれ熱心に取り組まれたと聞いている。今日の発表を期待している。国では数多くの施策を用意してかつ使いやすく工夫もしてあるので活用してもらいたい。
開講式の9月から半年間で様々な思いもよらないことが起き,不確実性の時代を実感している。不確実性の時代は,先々を予測するというより自分たちで自ら構想して動き出すことが大切でないかと思っている。『ニュータイプの時代』という書籍には,ニュータイプは自分で構想を思い描いて現実とのギャップを見比べてギャップの中から問題を発見して解決することと書かれている。まさに6ヶ月間研究生の皆さんが取り組まれてきた歩みである。皆さんの発表を楽しみにしている。
とやま呉西圏域共創ビジネス研究所設立までの経緯と今期カリキュラム・講義内容についての経過報告がおこなわれた。本研究所の前身となるたかおか共創ビジネス研究所のプロジェクト立案経緯を説明。高岡市と富山大学の包括連携協定締結から早い段階からのプロジェクトへの綿密な打合せ協議をおこない,産学官金の異業種が集まりビジネスで地域課題解決による地域イノベーションを狙い26年から28年までの3期開催。
平成29年度より高岡市から連携中枢都市圏の富山呉西圏域6市による『とやま呉西圏域共創ビジネス研究所』として3期目の開催となり,たかおか3期27名,とやま呉西圏域2期16名の修了生を輩出,3期生8名が本日修了する。修了生の提案事業のうち70%以上が実行され,多くのローカルイノベーターが生まれていると説明。人口減少・少子高齢化といった地域課題から内需を生み出し,企業・金融・行政・大学が早い段階から地域課題を共有して一緒に考え,地域と社会が関わり地域課題をビジネスで解決することを目標にし,一人ひとりが地域課題と企業の営利活動の共通項を探し出し,本業を活かしてできるプロジェクト育成を目的としていることを説明し,9月9日の開講式から各講義,演習や自主ゼミ,今年度初めての試みだった魚津と田辺との合同講義など本年度のカリキュラム内容について紹介。
今期カリキュラムを通じて人の繋がりが価値を高めていったことを話し,この後の研究生の最終プレゼンテーションのポイントである「地域と企業の課題を同時に解決しているのか」「自社や地域の強みを活かしているか」を注目して聞いて欲しいと呼びかけた。
8名の研究生が構想した8つの事業プロジェクトについて1人約3分間の時間で解決する地域と企業の課題,事業内容の要点・概要などを発表した。
<主な講義内容>とやま呉西圏域共創ビジネス研究所所長の髙橋正樹高岡市長から研究生ひとりひとりに修了証が授与された。
[パネリスト] 高岡市長 髙橋正樹
富山大学理事・副学長 武山良三 [第3期研究生] [コーディネーター] 富山大学地域連携推進機構教授 金岡省吾
活動始めて6年目となり煮詰まってきたのでこの研究所に参加した。広告代理店事業は新しい時代に入ってきており本業が変化している。広告より新しい商品やサービス作りの依頼が増えてきている。個別だけでなく呉西に特化して一緒に取り組める商品サービスができないかと考え事業提案をまとめた。
田辺や魚津など他の地域でも頑張っていることを知り,高岡・呉西でも頑張っていく気持ちが前に向く動機付けをもらった。これからもこの研究所を通し呉西での創業者がもっと増えて欲しい。
4年前にたかおか共創ビジネス研究所へ参加させてもらい福祉用具店の買い物代行サービス事業を発表実行させてもらった。社会状況が変わり再度ゼミ生として取り組ませていただいた。田辺市での塾生同志でのコラボ等がうらやましく思い,皆と繋がった活動をしていきたい。
悩んでいた時に銀行から話しをいただき参加した。毎回の講義は楽しく良い機会を持てた 先生の「小さくても継続する」「コミュニティは金になる」などのキーワードが頭に残りこの事業が浮かんだ。やってみてこの先が見え手来ると思う。
射水市役所からのきっかけで参加さえてもらい感謝する。創業1年の会社だがひとりでできることの限界を感じた。先生の「大事なのは一人でやらないこと」の意味が最初はわからなかったが、仲間で楽しくやることと理解したときビジネスパートナーができ,人脈とタイミングを大切にし事業に取り組んでいきたい。
インターネットの恩恵で仕事と子育てを両立することができた。インターネットの活用で事業拡大するお店企業を増やしたいという5年前の創業時の思いを振り返り,仲間のエネルギーの熱さに自分で何かやりたいと研究所へ参加して,今回のプランをカタチにした。いろいろなアドバイスをいただきたい。
皆さんの志の高さに感動した。取組を真剣に見ていくとまちの課題を本気でなんとかしたいことが伝わり,自分自身の中でも活力となった。良い機会をいただき,このプランを会社に持ち帰りさらにブラッシュアップして事業展開していきたい。
今回の8人の修了生たちの熟度は高く感じ,熱意の高さが伝わってきた。皆さんの視点が新鮮で,広域でとらえていることも嬉しかった。
富山呉西圏域ビジョンの新しい策定がはじまり大枠ができてきている。その中の熱源育成プロジェクトというのがあり熱い人材を育てコトを動かしていくプロセスを大事にし,支えるネットワークやインフラを行政が整備していくプランがある。
熱源の核となる人材を大切にしていきたい。修了生のプロジェクトで獅子舞を売りにしたいというテーマは私も同じ思いがある。福祉や介護で地域課題解決への取り組みや,地域資源として空き家に注目した点もよかった。
今回特徴的だったのがカフェやサロンで皆が集まってディスカッションするとか仲間が集うという内容だった。相互に良い影響を与えるエネルギーを大切にして,一人一人のエネルギーを拡大させ地域に循環させ,出来ることから取り組んで大きくしていって欲しい。
デザインとかビジネスとかは教科書通りにはならない。一番良い教材は発表したもののを意見交換するのが良い。今日の発表についてコメントをつけたい。
大島さんの獅子魂のネーミングは様々な拡がりを考えられる。獅子舞はコミュニティづくりの重要ファクター,これを取り上げてくれたのはとても嬉しい。地域だけでなく都市部から人を呼び込む提案もしてみては。
清都さんの食を中心としたまちづくりは,美味しいかどうかが分水嶺。イイものを知る中でイイものと比べても勝負にならない。余計なダメな物をいくつ並べてもダメ。一つで良いから勝負になる物を作っていくことが鉄則。
平さんは果樹園も食で連携してストーリーをつくってみてください。
塚田さんは介護用品を売らないコンセプトは良い。もっと拡げたカタチのコンセプトづくりもある。高齢者と孫の関係づくりも良い。ネーミングを工夫してみると面白い。
堀田さんの介護支援について包括的で従来の壁を取り払って民間ならではのサポートを深めてください。
升方さんは最後に居住者が入るためのモチベーションを擽る決め手をつくることがポイントとなる。
米田さんはモノ・人・金・情報を思い切った変換を試みる発想をしてみると培ってきた仕事のノウハウを突きつめる時,モノが変わっても活かすことができる。
服部さんは実務をやっている迫力が伝わっている。
提案発表を楽しく聞かせていただいた。もともとは地域の課題を見つけていただきき,それに対しての対処方法を考えることだった。それぞれの提案を実現していくと誰かが幸せになると思って聞いていた。中部産業経済局では施策を用意してある。提案実現には経済的に回していく必要がある。リスクを考えていくことが重要である。事業化前でも相談して紙に書いてもらえれば課題がわかってきてリスクを減らすことが出来る。やっていることを外に発信していって欲しい。
研究生同志で一緒にやっていくことは良いこと。集まっての取組は様々な結びつきが生まれ拡がりをつくる。当機構ではデザイン経営の実行支援を行っている。デザインの力を使って想いをカタチにすることだが,最初の想いを明確にすることが時間がかかる。この部分を皆さんは丁寧に取り組んでこられたことはこの先強くなってくる。
皆さんはそれぞれの分野でのエキスパートで,それぞれの強みを活かしているのと,地域の課題を良く把握していることを強く感じた。皆さんが情熱を持ってそれぞれの分野でよく考えて対応されている。今後もこの繋がりを活かし,他へ繋がりを拡げて継続していって欲しい。
皆さんご苦労様でした。ぜひ成果を発表いただき大きく羽ばたいてもらいたい。ポスターパネルを改めて見て女性の方の力を感じた。時代を象徴していて,いかに質を上げていくかを女性は素直な感覚の判断が出来る。
この感覚がこれからのビジネスを成功させていくのに非常に重要となる。今回は女性が多かったので男性陣とうまくコラボしながら今後発展していって欲しい。最後に関係者の皆さま本当にありがとうございました。