たかおか共創ビジネス研究所第3期
高岡市/富山大学

事業レポートReport

たかおか共創ビジネス研究所 4日目第7・8限講義&座談会

2016年8月5日
基礎講義 地域づくり最前線② 地域課題解決と企業経営
日時:平成28年8月5日(金)15:00〜18:00
会場:高岡市生涯学習センター502研修室

たかおか共創ビジネス研究所の4日目が開講。特別講義として,第2期たかおか共創ビジネス研究所修了生で丸進商事株式会社代表取締役社長の塚田高史氏から地域課題解決をビジネス手法で取り組み企業経営している事業概要をヒアリングし,地元高岡での事例から各研究員は,地域の課題解決を自社のビジネスとして展開するためのヒントを掴んだ。

たかおか共創ビジネス研究所 4日目第7・8限講義&座談会

第7限

基礎講義
地域課題解決と企業経営
講師 :丸進商事株式会社 代表取締役社長 塚田高史氏

地域課題解決と企業経営について地元高岡の事例として,伏木地区で福祉用具の販売・レンタル等をする「福祉用具まるしん」と買い物サービス支援センター「ストアまるしん」の事業展開やその背景,今後の展望などの話を伺った。

丸進商事株式会社は昭和42年は旧日本鋼管株式会社富山電気製鉄所の構内作業請負,工業用資材調達納入,払い下げを目的に設立。業務内容は人造黒鉛電極,耐火物製品の販売,一般工場用の資材の販売,トラック用コンテナー販売,一般作業請負,人材派遣業務と紹介。塚田氏が同社へ入社後,高度管理医療機器等の販売業の許可,介護予防特定福祉用具販売の許可を受け,平成21年10月「福祉用具レンタル・販売まるしん』の名称で福祉事業を正式に開始。平成23年に富山県より「買い物サービス支援モデル事業」を委託され地元スーパーと連携し必要に応じた食品を高齢者宅まで届け,安否確認も兼ねた「買い物サービス」を開始。平成25年11月には食料品・日用品・介護用品の購入および福祉の相談窓口を設けた買い物代行の拠点となる施設「ストアーまるしん」を設立したことを紹介,まるしんの事業内容について説明した。

介護サービスにおける問題点や地域包括ケアシステム,介護保険料の見直し等の介護を取り巻く課題がある中,事業・企業の展望を紹介。買い物支援サービス支援に取り組み始めた背景や経緯,成果を説明。高岡市伏木・太田地区の起伏ある地形や冬季の気候や公共交通機関の不便さなどから高齢者の外出が困難であることや,地区内の生鮮産品を扱う店舗がほとんどなく,買い物困難地域が多いこと,地区内の高齢者人口比率が高岡市全域より高いことから,同社が富山県と高岡市の買い物支援サービス支援モデル事業者の補助金を活用して買い物代行サービスに取り組んだ経緯を説明。平成25年度から27年度の3年間の実績を示し,収支状況や課題などを紹介した。また,平成25年11月に開店した買い物サービス支援センター「ストアーまるしん」の取り組みについて説明。食料品や日用品,介護用品の購入店舗スペースだけでなく,利用者が集まり自由に交流できるスペースも併設した多目的店舗を運営し,買い物代行サービスの拠点として活用していると話した。

「福祉用具まるしん」だからこそ,より高度で楽しい便利で文化が向上できる仕組みが作れたと話し,高齢者福祉全般の相談窓口として気軽に立ち寄れ,地元の人たちの日常生活で困難に思っていることの把握ができる場となって,利用者が増えていることや収支的に黒字であることなどを説明した。さらに今後の展望として買い物代行サービスの新しい取り組みとして「伏木型地域ステーション」の構築を目指すとし,地域問題解決ステーションと地域生きがいステーションの2つの提案について紹介。介護保険を利用しない介護予防のシステムを伏木で構築していきたいと話した。また,塚田氏が中心になり取り組んでいる「たかおか落語祭り2016」の取り組みについて紹介。

事業の目標である解決すべき地域課題やイベントと地域の関わり方や地域への影響について示し,CSVにつなげているプロジェクト内容を説明した。まるしんの今後のプロジェクトの広がりについて,介護についての安心して相談できる窓口になり,地域における文化交流の場として成立させ,新しい生活の楽しみ方を発信する企業となり,将来地域が「高齢になっても楽しめることがある」という思いをもてる地域に,介護の制度が民間企業の働きにより,より福祉が充実した地域にしていきたいと語った。

第8限

座談会/質疑応答&ディスカッション
地域再生論・地域活性化論  最近の気になるまちづくり
テーマ :企業と社会の新たな関係
論点1 :目標共有化と地域に必要とされる企業とは
論点2 :地域課題解決と企業経営 企業と社会の新たな関係とは

本日の講義についての質疑応答と研究員間でディスカッションがおこなわれた。施設やサービスの内容や利用者について,情報発信についてや会計処理についてなど様々な角度からの質疑に応えた。

塚田社長は,介護用品という異業種への参入理由は入社前に福祉行政経験を積んでいたことからだったことや周りの人を巻き込むためには興味ある各部分をしっかり持てば人は集まってくることなど質疑に応えて話した。

質疑に混じり各研究員の考え方や提案なども出されるなど,身近な高岡市伏木・太田地区の地域課題解決への取り組み事例について様々な切り口から討議がなされ,高岡の地域課題や地域課題をビジネスで解決する事業について研究員間での情報共有が図られた。