たかおか共創ビジネス研究所第3期
高岡市/富山大学

事業レポートReport

たかおか共創ビジネス研究所 7日目第13・14限

2016年9月30日
基礎講義 地域課題解決型事業立案演習 地域課題とビジネスチャンス③
日時:平成28年9月30日(金)15:00〜18:00
会場:富山大学二上キャンパス2階大会議室

たかおか共創ビジネス研究所の7日目が開講。高岡市の行政担当者から高岡のまちづくりについてと北陸新幹線開業後の高岡の状況と今後の動向について情報提供を受け,高岡市の現状の理解と課題や情報の共有化を図り,地域課題解決からビジネスチャンスを探った。

たかおか共創ビジネス研究所 7日目第13・14限 基礎講義

第13限

講義
地域課題とビジネスチャンス③
 高岡のまちづくり(都市軸・市街化形成)
講師 :高岡市都市創造部都市計画課 課長 堀英人氏

高岡の成り立ちについて明治22年の市制施行から平成17年の福岡町との合併し現在の姿になるまでの市域の変遷を説明。高岡市の現況について人口動態やDID(人口集中地区)の変遷を示し市街地が拡散していったことを説明し,人口密度と行政コスト,自家用車の利用率や公共交通機関の利用率との関係について説明。

高岡市の財政状況を市税の推移や投資的経費・維持補修費,地方債残高の推移を示して説明した。高岡市の現在策定・計画中の主な都市構造関連の計画を紹介。根幹となる総合計画では,「コンパクト・アンド・ネットワーク」をまちづくりの方向性として集約型都市構造を目指しているとし,都市構造を検討する上での前提条件としての今後の高岡市が目指すビジョンについて概要を紹介し,ビジョンの実現へ向けた土地利用・都市構造のあり方を検討してまちづくりを進めていることを説明した。

高岡市が目指す文化創造都市高岡推進ビジョンは,文化・芸術・産業・観光を一体的に推進させ,目指すイメージは,豊かな自然と伝統的な文化資源にあふれる都市環境が創造力と感性を高め,市民一人ひとりが文化や芸術に親しみ,自らの創造性を育み発揮する都市,創造的な活動を実践する市民が相互に連携し地域でネットワーク形成する都市,市民の実践する創造的な文化・芸術活動が新たな価値を創出市,新たに創出された価値がさらなる活動を支えるクリエィティブで持続的な地域をつくる都市であることを説明。

そして,文化力を発揮するための戦略として「知る」「創る」「つなげる」「伝える」の4つのキーワードで戦略を進めると解説。また,人口減少の克服と地域経済の活性化を図る「未来高岡」総合戦略についても解説。若者の定住促進と安心して働き・子育てできる地域社会の実現,人口減少に対応可能な地域づくりを基本視点に,東京や他都市でなく高岡市で若者が良い暮らしを送るコトができるための個人的な解釈を紹介。

また,コンパクト・アンド・ネットワークについても解説し,持続可能な都市経営の観点,高齢者の生活環境・子育て環境の観点,防災の観点,地球環境と自然環境の観点から目指す理由を説明し,将来的な行政投資のメリハリをつけて,コア+サブコアエリアでの集約構想を説明した。高岡駅と新高岡駅の役割について,高岡市のみの中心ではなく連携中枢都市ビジョンを踏まえた県西部の中心としてあり方を捉え,高岡市の都心エリアとしてビジョンを検討しているとし,地域生活の拠点としての高岡駅,観光・広域交流の拠点としての新高岡駅としてまちづくりに取組んでいると説明。

新高岡駅と高岡駅間のアクセスや市内周遊観光バスについて紹介。また,高岡駅前東地区整備基本構想についても説明し,民間主導で市が協力する形で,まちづくり協議会を立ち上げワークショップ等の活動を始めて進められていると話した。市中心部における今後の主な開発動向について現況での都市施設計画も紹介し,中心市街地活性化に取り組む理由について税収やインフラ投資のコスト面から説明し,高岡市の再興としてALL高岡市で取り組む意義・必要性の再認識が必要とした。

最後に「まちづくりは人づくりであり,お互いが協調できる人をつくっていく必要がある」と話した。

質疑応答

講義についての質疑応答がおこなわれ,中心市街地のエリアやDID(人口集中地区)について,コンパクト・アンド・ネットワークについて,空き家対策についてなど研究生からの質疑に講師が回答し,補足説明が加えられたりした。

第14限

講義
地域課題とビジネスチャンス③
 北陸新幹線開業後の高岡の状況と今後の動向について
講師 :高岡市経営企画部都市経営課 主幹 長久洋樹氏
たかおか共創ビジネス研究所 7日目第13・14限 基礎講義

平成27年3月14日に開業した北陸新幹線のこれまでの高岡の状況や効果,今後の動向について報告。新幹線工事実施計画の認可から開業までの動きや北陸新幹線の延伸や全国の新幹線整備の状況,北陸新幹線開業による長野・東京方面への短縮効果について説明するとともに,新高岡駅と周辺とのアクセスについて,駅前広場などの施設整備や公共交通の運行状況等、他地域の分離駅と比較し優位な状況を紹介。

新幹線の有する特性から高岡への開業効果について時間短縮・運行本数・定時性・大量輸送,需要の大きさや環境への優しさ,災害に強いことに加え,都市の拠点性の高揚をあげ,今後特に期待される開業効果として「飛越能の玄関口」としての役割,市内観光客誘引による「交流人口の拡大」市内産業の「ビジネス交流の拡大」が期待されると示し,高岡の立地の優位性や日本遺産認定,伝統工芸などものづくりのまち高岡の取組みについて詳細を説明した。

また新高岡駅とその周辺環境について説明し,中心部を取り巻く幹線道路網や交通基盤の整備,高岡駅周辺の整備について紹介。さらに,開業効果に高岡の知名度の向上や定住促進効果もあったと話した。開業1年後の現在,高岡で「変化したこと」と現在の時点で決定している「変化すること」を詳細にあげ,ハード・ソフト両面で今後も高岡市を取り巻く環境が変化していくと話した。開業効果としてあげられた交流人口の増加に関して現時点での状況について説明。北陸新幹線について高岡から東京・大阪への時間と経費を比較し,新幹線が交通手段として必ずしも選択されないとする一方,先行地域での経済波及効果の検証からも北陸新幹線は観光需要が多い路線と考えられると話し,開業後のゴールデンウィークの県内入り込み数をあげ,1%増える毎に延べ約3万人の交流人口が増加すると説明。

あわせて県西部地域だけでなく、富山県内、石川県内、岐阜県内をめぐる観光客入込数の増加に伴う市内交流人口増加の可能性を話した。また,ビジネス交流について,日帰り圏域が拡大したことに伴い,首都圏も営業圏となりビジネスチャンスが増えると同時に,競合の増加や支店・営業所の統廃合が促進される可能性についての考察,開業による高岡の知名度向上と定住促進への効果など現在の状況と今後の展開・展望を説明。

これからの高岡は,グローバルとローカルを意識し「高岡には○○が無い」「高岡は○○が違う」という言葉について,欠点の指摘か褒め言葉かを見極めて,「住みたいまち」が「訪れたいまち」だとしたら,私たちはどこを大切にすべきかを考えなければならない。北陸新幹線の存在はこれから当たり前の感覚として続いていく。自分たちにとってどうプラスかを考え,これからの生活に役立てていかなければならないと話した。

質疑応答

講義についての質疑応答がおこなわれ,活性化の考えについて,交流人口と定住人口について,高岡の現状,移住定住についてなど研究生からの質疑に講師が回答し,意見交換と討議がおこなわれた。