魚津三太郎塾第6期
魚津市/富山大学
地域課題と企業課題を解決する地域プロジェクトの創造 いざ未来形魚津へ!

事業レポートReport

魚津三太郎塾第7期6日目
高低差4000環境論

日時:平成30年10月11日(木)14:00〜17:00
会場:魚津市役所 第1会議室

魚津三太郎塾第7期の6日目が開講。高低差4000環境論として魚津・富山の自然環境とその中に生息する“さかな”から魚津の水循環の魅力や魚津の生物多様性・生態系についてと,事例として環境と経済(自社課題の解決)を両立させた事業展開について魚津三太郎塾修了生から講義を受け,水循環への関わりや今後の事業計画へのヒントを探った。

6日目第8限講義
高低差4000環境論②   講義① “さかな”と水循環

講師:魚津市企画政策課 伊串祐紀氏 魚津漁業協働組合 濱夛一徳氏
6日目 高低差4000環境論②

伊串氏から,富山の自然環境は標高約3000m級の北アルプス立山連峰から水深約1000mの富山湾を有する高低差4000mが水平距離50kmのエリアに存在する世界でも希有な地形で,特に魚津はその代表的な場所であると話し,毛勝三山などの2400m級山々から流れる片貝川・早月川・角川といった急流河川が注ぎ込む富山湾は急に深くなった地形で,水平距離25kmの範囲で水循環が完結する自然環境と説明し,魚類が生息する富山県内の上流域から海域までの様々な環境について説明。続いて富山湾について,最大水深1250mで大陸棚が発達していない急深する地形で,沿岸表層水,対馬暖流水,深層水の層をなす富山湾の断面について説明。

日本海に分布する魚類約800種のうち富山湾には約500種が生息すると話し,富山湾表層部から深場,深海に生息する魚を紹介。一生を富山湾で過ごす魚や定期的にやってくる魚,偶然やってきた魚の紹介や富山湾に棲む馴染み深い様々な魚について解説し,富山湾の魚はまだまだ謎が多いと話した。又,富山湾は発光生物の宝庫であり研究者に注目された場所でもあることや,富山県のさかなに指定されている「ブリ」「ホタルイカ」「シラエビ」「ベニズワイガニ」や富山湾深海魚の代表「ゲンゲ」についても説明。「魚津は凝縮した様々な環境と様々な生物が生息しているという資源がある。

こういう資源を本業に活用して欲しい」と伝えた。伊串氏が魚津三太郎塾1期生として参加して企画したプランや魚津水族館で実行した事業内容やこれまでの取り組みを紹介し,子供たちに生き物に触れさせ魚津の自然への入り口を提供して将来魚津の自然を語れる人づくりに取り組んでいると話した。

濱夛氏からは,漁業の現状や漁協の業務内容について紹介。魚価安や漁業資源不足の課題,資源保護による操業規制の状況や後継者不足による操業者の減少などの問題について説明。

漁業振興と漁村地域振興のための現況の取り組みや新たな取り組みについて説明し,漁村文化とのふれあいや首都圏PR,就労希望者への宿泊施設の整備など課題に取り組む活動内容や食ゼミの開催など一次産業連携や魚離れを防ぐ食育の取り組みなど活動写真を交え紹介した。

質疑応答

ここまでの講義への質疑応答がおこなわれ,塾生から富山湾や河川の環境と生態系の変化についてや漁業の後継者不足や漁協の役割,カワハギのブランド化や食文化,漁村民泊や養殖産業の課題などの質疑に応えた。濱夛氏は,地域資源は普段の何気ないことすべてであることを魚津三太郎塾で気づかせてもらい自分の中で昇華して事業に取り組んでいると話した。

高低差4000環境論②  講義② 修了生の事例 印刷用紙による森林整備リサイクル

講師:魚津印刷株式会社 森内将史氏
6日目 高低差4000環境論②

魚津三太郎塾第1期塾生時に企画立案し実行した「にいかわの守紙」事業について紹介。

冒頭に魚津三太郎塾入塾の志望動機と魚津印刷の企業概要,印刷業界の状況,地域の印刷業の現状,印刷の工程や印刷用紙の流通ルートなどの基本的な流れを示し自社の状況や業界を取り巻く背景を説明。魚津三太郎塾で学び,印刷業で自社の強みとして魚津のモノを持って勝負できるものは何かを考え,企業課題と地域課題の両方を本業で解決する手段を模索していた状況を説明。

同塾での講義や塾生との交流を通じ,魚津の間伐材で印刷用紙を製造することを考え,製紙メーカーへの直接交渉したことやその間のやり取りなどを話し,間伐材を利用したクレジット方式のエコシステム「にいかわの守紙」が誕生するまでを説明した。この商品が同社の営業の武器となり他者との差別化と地域貢献になったことを紹介した。

質疑応答

この講義への質疑応答がおこなわれ,塾生から環境への他の取り組みや営業効果,同様システムの波及や他社の反応についてのの質疑に応えた。。

6日目ディスカッション
論点:環境と経済の両立とは(環境資源,地域資源,地域商材,地域人材の活用法)

今回の講義内容を受けて,塾生間でディスカッションをおこなった。塾生が2班に分かれ,環境と経済の両立とはを論点に「環境資源,地域資源,地域商材,地域人材の活用法」をキーワードにグループ討議でをおこない考えをまとめた。

まとめた内容はグループ毎に3分の持ち時間で発表。塾生の本業と重ね合わせ環境や地域とコラボし共通の価値が創造できる事業を模索する意見や考えが発表された。事務局の伊串氏からは「環境と経済を両立させること,魚津の水循環とのつながりについて短時間で考えていくことは難しいが頭の片隅に残して考え続けてください」と話した。