魚津三太郎塾第6期
魚津市/富山大学

事業レポートReport

魚津三太郎塾第6期7日目 コミュニティビジネス育成起業化論

日時:平成29年10月20日(金)14:00〜17:00
場所:魚津埋没林博物館 研修室

魚津三太郎塾第6期の7日目が開講。コミュニティビジネス育成起業化論として,和歌山県田辺市「たなべ未来創造塾」から講師を招き,地域課題解決のまちづくりへの取組や同塾の取組概要や修了塾生が実現させたプロジェクト内容についてヒアリングし,地域課題解決やコミュニティビジネスの事例を学んだ。

7日目第10限 講義&討議
コミュニティビジネス育成起業化論① 講義①新たなまちづくりへの挑戦

講師:和歌山県田辺市企画部たなべ営業室 鍋屋安則氏
講義① 新たなまちづくりへの挑戦

最初に田辺市の位置や地域資源となる世界遺産の熊野古道や温泉,温暖な気候を生かした農産品の梅や柑橘を紹介。世界農業遺産の「みなべ・田辺の梅システム」が登録されていることも紹介した。

人口や面積・産業・観光について田辺市を紹介。人口減少については全国平均より早いスピードであり,将来的に山村地域を中心に非住居地域が増加することや経済面では内需に依存しているため人口減少の影響が直撃することが予測されることから,田辺市が目指す方向として地域外からの交流人口の増加と外貨を獲得し地域内で経済を循環させる地域経済の活性化が示され,その人材発掘と育成が必要となったと説明。その経緯の中で地方創生を先取るプロジェクトを富山県内で進めてきた富山大学の存在を知り,「価値創造プロジェクト検討委員会」の委員長を依頼し,戦略ビジョンプランを策定。ビジョンプランの要となるのは地域が生き残るために地域で稼ぐプレーヤーとなる地域イノベーターの育成であり,田辺市と富山大学の間で「人材育成の連携に関する覚書」を締結し,田辺市から鍋屋氏が共同研究員として富山大学へ派遣され「たなべ未来創造塾」が具体化。地域課題の解決や地域資源の活用をビジネスの手法で考える人材の育成とビジネスモデルの創出を目的に,産官学金が一体となり「たなべ未来創造塾」が平成28年7月に開講されたと説明。第1期は30代を中心とした地域を担う異業種12名を選抜した塾生でスタートさせ,地域に根ざしたビジネスプランを生み出したと話し,同塾から生まれたプロジェクトを紹介。市内の空き家・空き店舗を活用した地域と観光客・居住者を結びつけるエンゲージメントハウスを作るプロジェクト事業では,日本政策金融公庫からの融資やクラウドファンディングを活用した資金で実現していった経緯や空き家を改修したリノベーションの様子を写真を交えて紹介。

また,食品加工と地域連携によって生まれるサードプレイスを作りだした事業やユニークな紀州材とデザインをコラボさせ山を元気にするプロジェクトとしての箸てづくりキットの作成や家具店での商品開発など第1期塾生が提案した事業プロジェクトと実現経過を紹介した。さらに塾修了生など異業種の共同体組織として立ち上げた有限責任事業組合TETAUが同塾のサポートや事務局を運営し,ホームページやフリーペーパー,SNSなどを通じ情報発信をしている運営状況を伝えた。

修了塾生たちがそれぞれのプロジェクト実現に動き出し,地域に根ざしたスモールビジネスを数多く創出し,それぞれがつながる田辺型クラスターへ育てる取組は田辺市の未来を救うだろうと話した。最後に先進的に取り組んでいる魚津三太郎塾は「点が線になり面になりつつある次の段階が見えている。他の地域をリードしている今がチャンスで,どうすれば自分の企業が生き残れるかを自分で考えて、新たな一歩を踏み出してください」と塾生を激励した。

7日目第10限 講義&討議
講義② ひなたの山の物語〜地域商社を目指して〜

講師:岡本農園 岡本和宣氏 垣内利彌氏
講義② ひなたの山の物語〜地域商社を目指して〜

たなべ未来創造塾第1期生として学び,プロジェクト事業として取り組んでいる「農人と森の番人プロジェクト」の取組について紹介。

岡本農園がある田辺市上芳養地区の人口や環境、産業や暮らし等の概要を示し,地域課題として,農業者の高齢化による作付面積の減少,担い手不足による耕作放棄地の増加,深刻化する鳥獣被害,農産物の不安定収入,人口減少による雇用確保があり,この地域課題が負のスパイラルとなっていると説明。

人口減少に伴いイノシシ・シカなどが増え続け,農業収入の減少を引き起こしていることから将来的に農業をしていく中で鳥獣害対策が緊急課題であることからこの課題解決のために「農人と森の番人プロジェクト」を提案し,事業実施に取り組んでいると事業内容について説明。自分たちの地域は自分たちで守ろうを合言葉に若手農家メンバーによる狩猟チーム「チームひなた」を結成。今季の狩猟期間から活動を開始し約50棟の捕獲に成功し,獲物の解体処理場と加工施設との連携を図り,狩猟者の負担軽減や地域産品としての活用への取組や料理人との連携によるジビエ料理の提供に取り組み,地域と連携を図ってジビエ料理と上芳養地区を知ってもらう交流イベントを開催したと伝えた。

また,食の原点を知ってもらう体験イベントツアーを企画していると話し,農業体験や農業民泊,狩猟ツアーや解体見学といったグリーンツーリズムを紹介。耕作放棄地を活用して新しい地域産品生産やビジネスチャンスを見いだす活動も取り組み,地元保育園や障害者福祉施設と連携した耕作放棄地再生プロジェクトについてと,地元高校と連携した摘果みかんの商品開発の取組を紹介し,チームひなたのメンバーだけでなく地域の住民を巻き込んだ活動に拡げている様子を伝えた。チームで助け合い,住み続けられる地域を目指して活動を続けている中で様々な気付きがあり,地域の更なる活性化へ向け,チームひなたが地域商社日向屋として活動できるように頑張りたいと今後の意気込みを語った。

7日目第10限 質疑応答&討議
論点1 ビジネス手法による地域課題解決とは
論点2 企業と地域の関係 様々な地域プレイヤーとの連携

質疑応答&討議 ビジネス手法による地域課題解決とは

今回の講義内容に関しての質疑応答が行われた。塾生からは農業就業者の減少への対応や人材確保についてやジビエの活用や差別化について,鳥獣被害の対応の違いについてやクラウドファンティングの集客についての質問や,田辺市の観光や移住者が多いことへの質問,外国人観光客への対応や情報発信について等の考え方などについての討議がおこなわれた。

今回は講師のたなべ未来創造塾と魚津三太郎塾の修了生やオブザーバー参加したメンバーも討議に参加し有意義な討議と意見交換がおこなわれた。最後にオブザーバーとして今回参加した日本政策金融公庫富山支店の松尾氏から「この様な取組があることは素晴らしい。富山県内でも東京から戻ってきた若い人,女性、シニアの創業が増えてきている。創業者と事業継承者とのマッチングや全国の事業情報など相談があれば遠慮無く金融公庫を利用して欲しい」と感想が述べた。