たなべ未来創造塾-地域から必要とされる新たな仕事を創りだす-
未来デザイン

たなべ未来創造塾 第4期 事業レポートReport

3日目 地方創生から考える地域課題と地域活性化
    ケーススタディ:人生参加型工務店・高垣工務店

2019年8月10日
日時 :令和元年8月10日(土)14:00~17:00
会場 :田辺市役所別館3階 大会議室

地方創生とは何か。地域課題の根っこである「人口減少」を深く掘り下げる中で、人口が減ると地域はどうなるのか、自分の企業にどのような影響を及ぼすのか、こうした中で、ビジネスチャンスはどこにあるのかを探った。またケーススタディとして、たなべ未来創造塾修了生から、人口減少に歯止めにつながる企業行動について学んだ

①講義 地方創生から考える地域課題と地域活性化

講師 富山大学地域連携戦略室 塩見一三男 氏
たなべ未来創造塾第4期 地方創生から考える地域課題と地域活性化

前職において、田辺市の総合戦略策定業務を受託した経験から、田辺市の現状を踏まえたうえで、地方創生に関する国の方向性や政策を交えながら、国の資金や情報が提供される今が地方にとって大きなビジネスチャンスであるとし、田辺市においてどのように人口減少が進み、地域にどのような影響を及ぼすのかについて、田辺市の人口ビジョンを中心としながら説明した。

日本の人口は、2008年をピークに、今後、大幅な人口減少が予測されており、地方から東京圏への大幅な転入が続く一極集中となっている。

こうした状況を是正するため、国では地方創生を積極的に推進し、各種施策が展開されている。
田辺市に目を向けてみると、自然減と社会減をあわせて年間660人が減少し、その中でも特に15歳~24歳までの年代で大きく社会減となり、8割は近畿地方、うち5割は和歌山県内に転出している状況である。
将来人口推計では、田辺市の人口は2010年現在の79,119名から2060年には40,122名まで減少するとともに、65歳以上の高齢者は40%を超え、15~64歳の生産年齢人口とほぼ同水準となることが予測されている。また、将来推計人口メッシュを見ると、旧町村部では将来的に非居住となる地域が多数みられ、2060年には2010年の約3分の1にまで減少してしまうというという衝撃的な数値も示され、こうした中でどのようなビジネスができるのかを考える必要があると説いた。

また、人口減少は労働力不足や生活環境の悪化をもたらすだけでなく、教育・医療・福祉、立地されるサービス施設や都市戦略など、地域全体に影響を与える大きな課題であり、これから地方の企業が生き残るためには、人口減少がどのような影響を与えるか具体的に考える必要があると話した。

②ケーススタディ 「人生参加型工務店・高垣工務店」

講師 (株)高垣工務店 代表取締役社長 石山登啓 氏(2期生)
たなべ未来創造塾第4期 ケーススタディ 「人生参加型工務店・高垣工務店」

社長が病で倒れたため、残されたスタッフ5名を率いて、会社の再建を図ることに。
どうすれば、会社が生き残れるのかを考える中で、お客様に寄り添い、信頼関係を築くことを追求した結果、今では日本最大の工務店ネットワーク「JHABNET」で3年連続顧客満足度№1(お客様紹介率が88%)を受賞するまでになった。

また、引き続きお客様に寄り添い、ニーズに応える中で、半日型のデイサービス「きたえるーむ」や発達障がいの子どもたちを対象にした塾「ハッピーテラス」といった事業を展開、多角化経営を行うようになったのである。

こうした中、たなべ未来創造塾に出会い、講義を通じて、金岡教授の『コミュニティは武器になる』という言葉が心に深く刻まれた結果、学んで、創造して、飲んでしゃべる場、新しい価値が生み出される場として「シリコンバー」を作ることとした。今では、多くのセミナーやイベント、記者会見でも活用されるなど、人と人がつながり、新しい価値が生み出される空間となっている。

「シリコンバー」の会場使用料は無料である。しかし、本業である会社の売上げはアップしている。
 また、スタッフがいきいきと働いている姿、ワクワクする会社づくりを目の当たりにした県外の若者からも高垣工務店で働きたいという意識変化を生み出し、新卒者を雇用できるようになり、結果として、地域の人口減少の歯止めにも寄与している。

『コミュニティは武器になる』 人と人がつながる空間を作り、そこに寄り添うことで、地域から愛され、地域から必要とされる会社へ。

こうした企業行動が、地域課題の解決とビジネスの両立、CSV(共通価値の創造)の視点からの新たな企業経営のあり方なのではないだろうか。