たなべ未来創造塾-地域から必要とされる新たな仕事を創りだす-
未来デザイン

たなべ未来創造塾 第4期 事業レポートReport

6日目 田辺市の新たなまちづくりとビジネスチャンス

2019年9月28日
日時 :令和元年9月28日(土)14:00~17:00
会場 :田辺市役所別館 3階 大会議室

人口減少が進む中、田辺市では今後どのようなまちづくりを進めていくのか、その中でどこにビジネスチャンスがあるのかを探った。また、南紀みらい(株)より、中心市街地のまちづくり、特に、空き家の活用と市街地活性化施設「en+」の取組状況について説明するとともに、塾生は、自分たちに何ができるのかを考える機会とした。

講義 田辺市の新たなまちづくりとビジネスチャンス

講師 田辺市長 真砂充敏
たなべ未来創造塾第4期 田辺市の新たなまちづくりとビジネスチャンス

田辺市を一言で表す言葉といえば何を思い浮かべるか?
田辺市には農林水産や商工観光、歴史文化と、恵まれた資源がおしなべて揃っている。一言で表すことで新たなまちづくりの方向を示すことができるのではないかと考えたものの、あらゆる資源がある田辺市にとってこれは容易なことではない。

平成17年5月に合併し新田辺市となったが、合併後は、合併に関し各市町村間で協議・策定した「新市建設計画」に基づいた行政運営を10年間行ってきた。
「新市建設計画」に記された事業が進捗していく中、合併から10年を迎えるにあたり、これを単なる10周年と考えるのではなく、新しい田辺市に向けた次なるステップを創っていかなければならない機会であることを、私は常々言ってきた。

また、合併10周年にあわせるように、世界遺産登録10周年やわかやま国体・わかやま大会、吉野熊野国立公園拡張編入、さらには世界農業遺産への認定など、いくつものチャンスも舞い込む。
住み続けられるまちをどう創るかとよく言われるが、私は、まちづくりの定義には2つあると考えている。一つは課題解決。人口減少、高齢化、子育て支援などの地域課題に対応していかなければならない。もう一つは価値創造。新たに価値を高めていかないと夢や希望を語るということにならない。そのため、この2つがうまくかみ合う必要があるのではないかと思っている。

こうした背景から、平成26年度より田辺市価値創造プロジェクトを始動し、たなべ営業室を創設した。
田辺市がまちの魅力を伝えようとしたときに、どうプレゼンするのか、これからの職員にはプレゼン能力やコミュニケーション能力がとても必要となる。PRしようとすると地域のことを知らなければならない。
また、あわせて効果を検証することが重要だと考えている。例えば、広告費換算して、費用に比較して経済効果を検証するなど。こうした感覚は行政の中にも必要だということでこれまでたなべ営業室を中心に取り組んできた。

街なかに関しては、平成21年に中心市街地活性化基本計画を策定し取り組んできた中で、高台に庁舎を移転することについて、市街地の衰退に拍車をかけてしまうのではないかという議論はあるものの、防災面など多面的に考えると苦渋の決断であり、田辺市にとって50年、100年に一度の大きな決断であった。
こうした状況の中で、中心市街地のまちづくりをどうしていくのか。
景観を中心としたまちづくりとして基盤整備を進める一方で、商店街のシャッターが閉まったままでは、まちは活性化しない。そのため、地域で活躍する一人一人を発掘し、育んでいくことが重要であるという思いから「たなべ未来創造塾」を創設した。

当初は、年12名の塾生として、5年継続できれば60名、そのうち10~20名がその気になってくれればと思っていた。しかし、予想を大幅に超える皆さんが活躍するようになっている。
また、全国的に人口減少が進む中で、市の人口をV字に回復させるのは難しい。しかし、そのカーブをゆるやかにしながら、一方で、関係人口を増やしていくことが重要だと思っている。住民票の数だけを見るのではなく、地域に関わる人を増やすことは十分可能だと思う。
もう、田辺を一言で表す必要はないのではないか。合併して15年経ち、市民の中で田辺のイメージ=「田辺らしさ」はある一定、共有できているのではないか。

「田辺らしいまちを。自分らしい生き方で。」皆さんそれぞれテーマがあり、目標があると思う。自分の個性を生かして、いきいきと、それぞれが活躍して、自分らしい生き方で頑張る。自分らしい生き方が、田辺らしいまちづくりにつながっていけば、合併10周年を記念して作ったキャッチフレーズ「未来へつながる道」が実現できると考えている。
来年の今頃には、田辺市における中心市街地の基盤整備が一区切りを迎える。庁舎移転も迫っており、文里湾架橋も整備が進み、庁舎跡地利用についても考える必要がでてくる。
全国でもそれほどないまちに生まれ変わっていく可能性を秘めている。
皆さんとは、こうした新たなまちづくりのビジョンを共有し、修了式では、自分らしいビジネスプランを発表していただくことを期待している。

質疑

市長と塾生との間で約30分間、質疑が行われた。

講義 中心市街地のまちづくりを考える

講師 南紀みらい(株)
たなべ未来創造塾第4期 中心市街地のまちづくりを考える

田辺市中心市街地では、人口減少や高齢化、空き家・空き店舗の増加など、様々な地域課題を抱えている。その一方で、欧米豪のインバウンドの増加、空き家のリノベーション事例が数多く生まれるなど、可能性が広がりつつある。

こうした中、南紀みらい(株)では、さらにリノベーションを推進するため、地域おこし協力隊を導入し、空き家・空き店舗の掘り起しに努めており、物件をストックするとともに、安心して賃貸借ができる「物件活用プラン」も用意している。

また、中心市街地の起爆剤となる市街地活性化施設「en+」が来年度には完成する予定で、現在、運営計画を策定しているところである。

施設のコンセプトは、
 ・縁を結び、交流と協働を生み出す新たな拠点
 ・「人」「文化」「経済」を結ぶ縁空間
 ・「内」と「外」、「これまで」と「これから」の結び目

塾生の皆さんの強みを生かしながら、市街地活性化施設「en+」を活用して、是非、ビジネスチャンスにしていただきたい。

■ディスカッション

下記の論点について、グループディスカッションを行った。

  1. 南紀みらい(株)への質問
  2. 本業や特技を生かして、自分に解決できる中心市街地の地域課題は?
  3. 活性化施設のコンセプト「交流・協働」「結ぶ」とはどんな状態?
  4. 自分なら空き家または活性化施設を活用して何ができる?