たなべ未来創造塾-地域から必要とされる新たな仕事を創りだす-
未来デザイン

たなべ未来創造塾 第4期 事業レポートReport

10日目 「超高齢社会ビジネスの可能性」

2019年11月30日
日時 :令和元年11月30日(土)14:00~17:00
会場 :田辺市文化交流センター たなべる 2F大会議室

田辺市における地域課題の重要な視点の一つである「高齢化」をテーマに、地域はどのように変化するのか、どこにビジネスチャンスがあるのかを探った。

講義 「超高齢社会ビジネスの可能性~地域包括ケア時代の生活支援サービス市場~」

講師 三菱UFJリサーチ&コンサルティング 社会政策部長 主席研究員 岩名礼介氏
超高齢社会ビジネスの可能性

おじいちゃん、おばあちゃんをイメージしてほしい。

そんな問いかけから講義がスタートした。

国よっても、場所によっても、地方によってもお年寄りのイメージや嗜好などは大きく異なる。
つまり、高齢者は多様化しているため、「高齢者をターゲットに」とはいっても一律にはいかないことを認識しなければならない。

これまで日本の企業は、一番の人口のボリュームゾーンである「団塊の世代」をターゲットにし、常にその世代が何を求めているかということを考えながら、サービス開発を進めてきた。

「団塊の世代」は、70歳となり何を求めているのだろうか。
今の70歳は、見た目も若く、元気で、しかも十分な貯蓄のある層が増えており、旅行や食事などによくお金を使う。

しかし、私たちが考えなければならないのは、10年後、「団塊の世代」が80歳を超え、何にお金を使うのか予測することである。

生活への支援や介護が必要となるケースが急速に増え、旅行や食事など趣味嗜好にお金を使うことが少なくなる。つまり、今後、「団塊の世代」が求めるものは短期間で大きく変化するのだ。

さらに、2040年には団塊の世代が90歳以上となり、介護が必要となるケースが多くなる。しかし、その高齢者によって、家族形態が異なり、嗜好も違うなど、平均的な高齢者像では語れない「多様化と格差」の時代が到来するのである。

こうした状況を迎える中で、画一的なサービスを提供するのではなく、「参加」と「協働」で多様な価値観を持つ住民を包摂する「地域共生社会」をつくる必要性が高まっている。
そのため、きっちりとデザインしたサービスを提供するのではなく、「すきま」を作ることで、そこに関わる役割が生まれ、いきいきと暮らすことができるのである。
年齢別の人口推移と人口予測のデータを見ると、75歳以上の後期高齢者は2030年頃に向けて増加し続け、さらに後期高齢者の平均年齢は上昇していくため、支援や介護を必要とする人は2040年に向けて増え続けていく。一方、15~64歳の生産年齢人口は大幅に減少し、少ない人数で75歳以上の後期高齢者を支えなければならない状況が生じる。

そのため、専門職の世界では、医師や看護職、介護職がそれぞれの役割を少しずつシフトさせ、専門職でなくても担えることは積極的に民間市場に任せていくことで担い手不足を補う必要がある。「ロールシフト(タスクシフティング)」という考え方だ。これまで介護職が中心に担ってきた買物、調理、掃除などの生活支援については、介護の専門職以外の担い手が積極的に支えていく必要がある。そこにビジネスチャンスが生まれる。

寝たきりなど重度の要介護者は、生活のために必要なサービスの範囲が多岐にわたるが、軽度者の場合は生活の中で支援を必要とする困りごとは、重い荷物を動かしたり、ゴミ出しといった些細なことも多く、こうした小さなニーズに「なんでもお世話します」という形で過剰なサービスを提供していくと、結果として、これまで自分でしてきたことをやらなくなることで、身体能力が低下してしまうという点も指摘されている。

したがって、こうした小さな支援を必要とする部分をみんなでどう支えていくかが問われており、そこには、民間サービスに加え、住民同士の助け合い(互助)の必要性も認識されるようになっている。

その一方で、こうした小さな支援はビジネスになりづらいと言われてきた。

しかし、これを本業でやる必要はない。

自分の本業に、ちょっとしたサービスを連動させることで、そのサービス自体で利益を出せなくても、地域に足がかりを作ることで本業の売上げにつなげることは可能なのである。

お年寄りとのコミュニティ、信頼関係、その人の生活に必要な存在になっているか、大都市ではなく、地方でのビジネスには重要な視点であり、大きな武器になるのである。