たなべ未来創造塾-地域から必要とされる新たな仕事を創りだす-
未来デザイン

たなべ未来創造塾 第4期 事業レポートReport

9日目 「地域活性化論②」

2019年11月2日
日時 :令和元年11月16日(土)14:00~17:00
会場 :南方熊楠顕彰館 1階 会議室

人口減少のメカニズムを解明しながら、民間企業が人口減少の歯止めにどう関わることができるか、子育て世代の移入とビジネスをどう両立させることができるか、舟橋村や魚津市での取組事例などを通じて、コミュニティを武器としてCSVを実現する手法を学んだ。

講義 「地域活性化論②子育て支援と人口減少のメカニズム、子育て支援とビジネスの両立~新たな地域づくり、ケーススタディ(富山県舟橋村・ココママ)~」

講師 富山大学地域連携戦略室長 金岡省吾 教授
地域活性化論②

どうすれば人口減少に歯止めをかけることができるのだろうか。
人口減少が進む理由には、大きく「社会減」と「自然減」があげられる。

年齢別の人口移動状況を見ると、高校を卒業し、大学や就職で都会に転出する「社会減」が大きい。しかし、一度都会に出ることはむしろ重要なことであり、それよりも、学生の頃にいかに地域にふれ、将来帰ってきたいという人材を育成できるかが大切なのである。

また、30歳代前後になったときに「社会増」がみられる。つまり、地域に帰ってきていることを表しており、さらに0~4歳の移動を生み出している。子供を連れて帰ってきているのである。
そして、この世代に対し、もう一人産んでもよいと思える環境を作ることで、「自然増」につながり、人口減少に歯止めをかけることができるかもしれない。

そのため、子育て世代の移入が人口減少の歯止めの大きなカギを握っているのである。
千葉県流山市、長野県下條村では、子育て世代に焦点を絞り、子育て賃貸住宅の提供や子育てしやすい環境づくりなどの施策に取り組むことで、その移入に大きな成果をもたらしている。
しかし、それは補助金施策により人の取り合いをするのではなく、重要な視点は「共助」。
旭化成ホームズや積水ハウスでは、コミュニティを武器とした子育て共助住宅の建設に取り組んでいる。地域がみんなで子どもを見守るコミュニティを形成することで、子育て世代にここに住みたいという感情が生まれているのである。他にも大手メーカーやUR都市機構がコミュニティを武器とした公共空間の再生に乗り出すなど、コミュニティビジネスの分野に進出する企業が増えている。
次に、富山県舟橋村の事例。公共投資がトリガーとなり、民間の動きが活発になったことで、住宅開発が進み、子育て世代を中心に人口増加が進んでいたものの、当初は周辺自治体よりも地価が安かったことから進んでいた住宅開発が、近年、それが逆転したため、住宅開発が大きく鈍化しており、将来的には高齢化が進むであろうことが明らかとなった。

こうしたことから、舟橋村では、産学官金が連携した子育て宅地開発に着手。地価に左右されるのではなく、安心して子育てできる環境・仕組みを作ることで、子育て世代を誘導しようと、モデルエリアを設けて、子育て賃貸住宅と子育て支援センター、公園を一体的に整備するプロジェクトが進行している。
その中でも、子育て支援センターについては、立派な施設や豪華な遊具といったハードではなく、ベテラン保育士が相談に乗るのでもない。お母さん同士で相談しあえるコミュニティを形成することで、多くの子育て世帯が訪れるようになっている。こうした取組みに着目したのが地元の書店。子育て支援センターと連携し、子育て世帯を対象としたイベントを開催することにより、子育て共助にコミットしながら、自社の書籍の売上につなげているのである。

魚津市では、「ココママ」の取組が注目を集めている。
フリーランスのママは、子育てと家事をこなしながら、仕事で活躍することが非常に難しい。子どもに振り回され、他にも悩みは尽きない。
そのため、ココマカロンの大島さんは、フリーランスのママたちが活躍できる場を作ろうと、「ココママ」を結成。理想の働き方を後押しし、ママが輝ける街を目指して取組を始めた。
同じような悩みを抱えているママたちに呼びかけ、マルシェを開催したところ、大きな反響を呼び、今では多くの出展者、来場者が参加するようになり、大きなママコミュニティが形成されつつある。他にも勉強会や座談会、育児の助け合いなどを通じて、共助を実践しながら、新たな働き方を創造している。
こうしたコンセプトと取組みが共感を呼び、多くのメディアにも取り上げられるなど、好循環が生み出されている。

子育て世代の移入とビジネスとの両立。地方創生が叫ばれる中、人口減少という課題に立ち向かい、この課題を解決できる企業は必ず地域から必要とされる。
そのために重要な視点は「コミュニティ」。一見、手間がかかり、コストが合わないと思われがちな「コミュニティ」の形成が、共感を呼び、人を動かす。
結果として、企業利益につなげていくことが可能なのである。
「コミュニティは武器になる」。
これは、子育てに限ったことではなく、若者、高齢者、どの分野においても、これからのビジネスの大きなカギを握るのかもしれない。