たなべ未来創造塾
未来デザイン

たなべ未来創造塾 第2期 事業レポートReport

3日目 地方創生から考える地域課題と地域活性化

2017年9月2日
日時 :平成29年9月2日(土)14:00〜17:00
会場 :田田辺市文化交流センター たなべる 2階大会議室
2日目 地域活性化論①

地方創生とは何か。「人口減少」という大きな地域課題を深く掘り下げる中で、その課題解決のために、自分の企業で何ができるのか、ビジネスチャンスはどこにあるのかを探った。

講義 地方創生から考える地域課題と地域活性化

講師 (株)日本能率協会総合研究所 塩見一三男 氏
地域活性化論① 〜CSV、ローカルイノベーション、魚津・高岡の企業行動〜

田辺市の総合戦略策定業務を受託した経験から、田辺市の現状を踏まえたうえで、地方創生に関する国の方向性や政策を交えながら、国の資金や情報が提供される今が地方にとって大きなビジネスチャンスであるとし、田辺市においてどのように人口減少が進み、地域にどのような影響を及ぼすのかについて、田辺市の人口ビジョンを中心としながら説明した。

日本の人口増減の歴史をみると、2010年をピークに、今後、大幅な人口減少が予測されており、地方から東京圏への大幅な転入が続く一極集中となっている。

こうした状況を是正するため、国では地方創生を積極的に推進し、各種施策が展開されていることを紹介した。田辺市では、自然減と社会減をあわせて年間700人が減少し、その中でも特に15歳〜24歳までの年代で大きく社会減となり、8割は近畿地方、うち5割は和歌山県内に転出している状況である。
将来人口推計では、田辺市の人口は2010年現在の79,119名から2060年には40,122名まで減少するとともに、65歳以上の高齢者は40%を超え、15〜64歳の生産年齢人口とほぼ同水準となることが予測されている。また、将来推計人口メッシュを見ると、旧町村部では将来的に非居住となる地域が多数みられ、2060年には2010年の約3分の1にまで減少してしまうというという衝撃的な数値も示され、こうした中でどのようなビジネスができるのかを考える必要があると説いた。

また、田辺市は、域内市場産業が多いという経済構造を有しているため、人口減少は地域経済に与える影響が大きいとしながら、労働力不足や生活環境の悪化、教育・医療・福祉、立地されるサービス施設や都市戦略など、地域全体に影響を与える大きな課題であるとし、さらに、RESASを使った地域経済分析では、田辺市の地域経済循環率が77.9%と、市外への流出額が多いことから、地域の中でビジネスとして循環させることができればとその可能性を示した。また、熊野古道の訪問者がどのエリアから来ているのか、熊野古道のWEBでの検索回数はどの月で多くなっているのかなど、視覚的にデータを見ていくことで理解を深めた。

最後に、稼げるまちづくりの事例を紹介、その中で気になる事例については自分で具体的に調べてほしいと伝え、講義を終えた。

ディスカッション

<論点①> なぜ、人口は減少するのか
<論点①> 地域課題とは(人口減少で市街地、山村地域はどうなるか)
<論点②> 自分の企業で何ができるか
地域活性化論①

人口減少が進むと、内需に依存した企業は売り上げが減少することはもちろんのこと、労働力(担い手)の不足や鳥獣害や遊休農地の増加、病院・保育所・学校が地域からなくなるなど、地域全体に様々な影響を及ぼすことを塾生それぞれが認識した。

そのうえで、悲観的に捉えるのではなく、こうした課題を解決するために、自分の企業で何ができるか、どこにビジネスチャンスがあるのかを探り、3日目の講義を終えた。