たなべ未来創造塾
未来デザイン

たなべ未来創造塾 第2期 事業レポートReport

4日目 田辺市の新たなまちづくりとビジネスチャンス

2017年9月16日
日時 :平成29年9月16日(土)14:00〜17:00
会場 :田辺市文化交流センター たなべる 2階大会議室
4日目 田辺市の新たなまちづくりとビジネスチャンス

人口減少が進む中、田辺市では今後どのようなまちづくりを進めていくのか、その中でどこにビジネスチャンスがあるのかを探った。

講義 田辺市の新たなまちづくりとビジネスチャンス

講師 田辺市長 真砂充敏
4日目 田辺市の新たなまちづくりとビジネスチャンス

チャンスとは、わからないのがチャンス。無言で通り過ぎる。これがチャンスですよと誰も言ってくれない。振り返ってはじめてチャンスだと気づくこともある。

しかし、私は、チャンスというものはみんなに平等に訪れているものだと考えている。
 それに気づくか気づかないか、ものにするかしないか。

そのため、できるだけアンテナを広げておいてほしい、もう一つはチャレンジしないとチャンスは無言で通り過ぎる。是非、バットを振ってほしい。と激励し、4日目の講義がスタートした。

1955〜1970年にかけての高度成長により、日本の人口は増加したものの、田辺市の旧4町村の人口を見ると、高校卒業後の就職や進学により4割が減少している。一方、東京は337万人もの人口が増え、過疎と過密を生んだ。その後、90年代に入り、日本全体の合計特殊出生率が大幅に減少し、こうした2つの要因が、今の人口減少に大きく繋がっている。このような状況の中、人口減少のスピードを緩めながら、いかに少ない人口で豊かに生きるかということ、また、交流人口を増やし、これを定住や経済効果にどうつなげていくかということを考えなければならないとし、このままでは2060年に約4万人にまで減少してしまう人口を約5万4千人に下げ止めるため、田辺市では「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、様々な取組に着手していることを説明した。

まず、新たな人の流れを創出する取組として、二地域居住の可能性の模索や、Uターンにも注力するとともに、Iターンについては、振興山村地域だけでなく、田辺市全体で受け入れていく必要があり、そのため、まずは、まちなかに地域おこし協力隊を導入する予定であるとした。

しごとづくりについては、農林水産業を中心として、田舎で生活することのメリットや豊かさを伝えながら、アンケート調査を活用するなど、何がネックになっていて何が応援できるのかを分析したうえで、新たな取組を模索するとともに、たなべ未来創造塾などの創業支援にも取り組んいくこと、結婚・出産・子育て支援については、子供を産み育てる環境を作ることが重要であるとし、10月1日より中学校卒業まで医療費が無料となるよう制度を拡充することなどを説明した。

こうした取組を進める中で、地方創生をさらに加速させていくのが大型プロジェクト。これまで中心市街地活性化基本計画を策定し、中心市街地の整備を進めてきた。この「たなべる」もその計画に位置付けたもの。年間30万人近い人が利用し、賑わいという考え方からすれば想定以上。しかし、賑わいを経済効果、ビジネスにつなげていくためには、市民の皆さんがチャンスと捉え、自ら考えることが重要。
 そのチャンスの一つが、鬪?神社の世界遺産追加登録。今年の正月には参拝するのに行列ができた。観光バスもよく来ていて、世界遺産があるというのは非常に大きなインパクトを与えるものであると実感している。

また、合氣道が世界約130か国に広がり、植芝盛平の生誕の地である田辺市が聖地とされていることに着目し、武道館建設にあわせ、顕彰館を併設することもチャンス。これまでは植芝盛平、南方熊楠、武蔵坊弁慶を三偉人と言いながら、尋ね歩くということができていなかったが、拠点ができることで、それぞれが繋がることとなる。

加えて、JR紀伊田辺駅の建替え、景観まちづくり刷新事業、鬪?神社から南方熊楠顕彰館までの舗装美装化などにより、まちなかが大きく変わることとなる。さらに、文里湾架橋ができることで、白浜からの人の流れも大きく変わるなど、こうしたプロジェクト全体がチャンスではないだろうかと述べた。

最後に、「地域力」とは、素人集団の専門力。専門機関がないかつての時代は、地域住民が助け合いながら、お年寄りの介護や子どもの教育、防災など、地域の中でそれぞれの役割を果たしてきたが、都市化するに従い、専門化が必要になり、学校、警察、病院など細分化されていった。

しかし、人口減少が進む中、専門的なことをしながらもう一歩踏み出すことが必要になってきた。
大学は、本来、学生に学問を教えるところのはずが、今は地域づくりの分野に一歩踏み出し、市役所も一歩、半歩踏み出そうと、「たなべ営業室」を創設し、「たなべ未来創造塾」を始めることとなった。

皆さんも、是非とも今の状況、地域の状況を見つめ直して、地域課題を解決するために、今の本業をベースにしながら、もう一歩、もう半歩踏み出してほしい。と伝え、講義を終えた。

ワークショップ

<テーマ①> 大型プロジェクトで地域はどう変わるか
<テーマ②> 自分に何ができるか
4日目 田辺市の新たなまちづくりとビジネスチャンス

たなべ営業室鍋屋企画員から、大型プロジェクトの概要を補足説明したあと、2グループに分かれ、上記の2つのテーマについて、ワークショップを行った。