日時 | :平成29年11月16日(土)14:00〜17:00 |
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会場 | :田辺市役所 3階 第一会議室 |
福岡県福津市津屋崎を拠点に活動している「津屋崎ブランチ」代表、まちづくりファシリテーターの山口覚氏を招き、地域づくりや新たなビジネスの考え方、津屋崎ブランチの取組を学んだ。
講師 | :津屋崎ブランチLLP/Local&Design代表取締役 まちづくりファシリテーター 山口 覚 氏 |
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今回のテーマは、「知識」を得るのではなく、「思考回路」を変えること。
これまで、7日間にわたる講義の中で学んできたことを一度立ち返り、本当は自分は何をしたかったのか、何が必要なのかを見つめ直す機会となった。
山口氏は、これからの時代は、「発明家的思想」が必要であるとし、重要なキーワードであると説いた。
そのためには、まず「常識を疑う」ことが大切であるとし、人口が増加、経済が成長していた時代の20世紀型のビジネスモデルは今や通用せず、様々な事例を紹介しながら、これまで常識と思っていたことを本当なのだろうかと疑ってみる思考回路が必要だとした。
そのうえで、大切にしていることは話し合うことであるとし、それは討論ではなく、「対話」であると。討論では、考え方の違いを明らかにして、いかに自分の考えが正しいか、相手を言い負かす。そうではなく、「対話」。断定も否定もしない、自分だけが正しいと思い込まない、答えが一つだと思わないということを前提としたうえで、「対話」することで、これまで見えなかったものが見えてくる。
また、マーケティング調査では、どういうものが必要か、足りないもの、困っていることなどのニーズを掘り起し、それを解決する答えを提示していくもの。しかし、これから世の中がどうなるかわからないという時代において、マーケティング調査をしても答えが出ない可能性が高い。
一方で、マーケティングとは、これまでなかったマーケットを新しく作ること。これからの時代に求められる考え方で、そのためには発明家的センス、発言そのものを真に受けるのではなく、その発言の中にいったい何があるのかを探る、そしてその人自身が気づかないサービスを提供する。こうした潜在的欲求を可視化するという力が必要であるとした。
こうした考え方を話したうえで、「津屋崎ブランチ」の取組事例へと進んでいく。ただ単に事例を聞くだけでなく、なぜ、その取組が生み出されたのか、そのいきさつ、やり方、発明家的発想の視点を注意しながら聞く。そうすることで、田辺でしかできない新しいビジネスのヒントが湧き出てくる。
津屋崎ブランチのやりたいこと、それは「まちの永続」。100年後もまちが潰れることなく、そこに住む人たちが幸せに暮らしているという姿。
そのために、話し合いの場づくりをしながら、暮らしを豊かにし、新しい仕事を作り、人の交流を図っていく取組を進めることで、まちのブランディング、潜在的な欲求に対するマーケットをつくる作業をしてきたという。
山口氏は、津屋崎で生まれている様々な事例を紹介しながら、これからの地方は、人口が減少しても、関係性のある人口を増やしていくこと、地域内で競争するのではなく、協力し合う、チームを作ることが重要であるとし、どのようなまちを作りたいかという世界観を共有することで、このことに共感する人たちが集まってくるとした。
最後に、話し合うということには、とても価値がある。
まちづくりとは、価値観が違う人たちが認め合う場であり、偶発的に触発して、つながることで何か新しいものを生み出したり、ビジネスを生み出す。と説明し、8日目の講義を終えた。