日時 | :平成29年8月5日(土)14:30〜17:00 |
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会場 | :ガーデンホテルハナヨ 2階会議室 |
富山大学地域連携推進機構と田辺市の共同主催により、地域課題の解決や地域資源の活用をビジネスの手法で考える人材の育成とビジネスモデルの創出を目指した「たなべ未来創造塾」第二期の開講式が行われ、平成30年2月までの約7ヵ月間にわたる取組がスタートした。
開講式には塾生のほか、主催の田辺市、富山大学地域連携推進機構、連携・協力機関である金融機関や後援機関、マスコミ関係者ら約50名が参加した。
開会にあたり主催者を代表して「たなべ未来創造塾」塾長である真砂充敏田辺市長が、第二次総合計画を策定したことに触れ、こうした中で、今年度を未来へつながる第一歩の年にしようと強く意識して取り組んでいる。
塾生の皆さんは、庁舎移転や文里架橋、駅舎建替え、景観まちづくり刷新事業などの大きな事業が始まることをチャンスと捉えて、是非、ビジネスにつなげてもらいたい。
また、1期生は既に様々なプロジェクトをスタートさせている。そこに2期生が加わり、連携することで地域の活性化につなげてほしいと挨拶した。
近畿財務局和歌山財務事務所長の三好雅幸氏は、これまで財務事務所としても地方創生に向けた取組に力を注いできた。しかし、地域における直接的なプレーヤーにはなりえない。それぞれの地域に赴き、中央省庁に伝える役割を担っている。
また、地方創生には、産学官金の融合が欠かせないと感じており、この「たなべ未来創造塾」は、まさしくこうしたことを兼ね備えている。今後もバックアップしていきたいと挨拶した。
富山大学地域連携戦略室長 金岡省吾 |
田辺市たなべ営業室 鍋屋安則 |
「たなべ未来創造塾」の開講にあたり、金岡教授から富山大学では「魚津三太郎塾」や「たかおか共創ビジネス研究所」などを通じて、ビジネスリーダーの育成、新たなビジネスの創出に取り組む中で、地域活性化の中核拠点としての役割を果たしてきた経緯を説明した。今の地域づくりでは、従来のボランティア的な要素が強いCSRから、持続可能な地域づくりに向け、「稼ぐ力」が大きく求められており、企業の営利活動との共通項、ビジネスの視点で考えるCSVへの転換が必要であるとして、全国の先進事例や国土形成計画など国の動向を紹介しながら、取り巻く環境が大きく変化しているとした。
こうした中で、「魚津三太郎塾」や「たかおか共創ビジネス研究所」から多くのローカルイノベーションが創出されていること、たなべ未来創造塾の取組は全国から注目される事例になりつつあることが報告された。
田辺市たなべ営業室鍋屋企画員からは、全国平均より早いスピード人口減少が進み、内需に依存した経済構造を持つ田辺市にとって、「交流人口の増加」「地域経済の活性化」に向けた取組が必要で、そのため、「たなべ未来創造塾」を重点事業と位置づけ、富山大学地域連携推進機構と「人材育成の連携に関する覚書」を締結し、具体化してきた経緯を説明。「たなべ未来創造塾」の概要では、カリキュラムの構成や演習の手順を説明した後、修了式では塾生自らがビジネスプランを発表することを共通認識した。
塾生が各自1分以内で自己紹介を行い、企業情報や事業内容、参加の動機、抱負などを話した。
テーマ | 「田辺の地域資源の活用と地域課題の解決を目指したビジネス創出の可能性」 〜田辺市の新たなまちづくりとビジネスチャンス〜 |
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パネリスト |
:真砂充敏 (たなべ未来創造塾長 田辺市長) :鈴木基史 (富山大学理事・副学長) :多田稔子氏(田辺市熊野ツーリズムビューロー会長) :田上雅人氏((株)たがみ専務取締役) :中村文雄氏(LLPタモリ舎・1期生) :横田圭亮氏(LLPタモリ舎・1期生) :吉本 健氏(美吉屋旅館・1期生) |
コーディネーター | :金岡省吾 (富山大学地域連携戦略室長) |
人口減少が大きな課題となっているが、イコールダメだとネガティブに捉えているように思う。そうではなく、ポジティブに考えることでチャンスを見出すことが大切だ。
例えば、外国人観光客が増えても、お金を落とさないという方もいる。しかし、外国人観光客は、お金の使い方が上手なだけで、価値があると感じるものにはお金を使う。それをどう使わせるか。チャンスはチャンスと言ってくれない。無言で通り過ぎる。自分で掴むしかない。」
「1期生の行動が早かった。1年でこれだけ変わるのであれば、3年経てばどうなるのか非常に楽しみに思っている。」
「富山大学の地域づくりの取組が、ようやく全国で認められるようになった。これまで、大学は先進技術の開発や研究などが大きな役割とされてきたが、今は地域づくりの視点が重要視されている。新たな取組にも着手する予定である。
田辺には新しい風が吹き始めている。皆さんがそれをひっぱっていってほしい。地域イノベーションと言われているが、一番大切なのは皆さんの熱い心。皆さんにはネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに考え、自らが動いて頂きたい。」
「田辺市熊野ツーリズムビューローはインバウンドに向けてプロモーションを実施してきたが、こうした取組を進める一方で受け入れ態勢が整っていないことに気づき、来て頂ける仕組みを作るため、旅行業をはじめた。
しかし、取組を進めるうちに宿泊先を予約せず訪れる外国人観光客に対応することの必要性を感じ、駅前商店街に「KUMANO TRAVEL」をオープンさせた。塾生の皆さんは、旅行商品や特産品など、ここを活用する何かを是非考えて頂きたい。」
「たなべ未来創造塾は、未来の田辺を創る礎となる。いろんな人が支援し、すばらしい事業になっている。」
「平成22年に農商工連携の認定を受け、熊野米プロジェクトの取組を始めた。地元の農家と連携し、作付面積を増やす一方、自らも農業参入し、栽培を始めた。
さらに、収穫した米で米粉パンやリゾットなどの商品開発にも着手している。
プロジェクトを始め、約10年になるが、ようやく形になってきた。
いろんなところにビジネスチャンスはあると思う。ここに来ていることが第一歩。それを二歩三歩と進めて頂きたい。」
「修了式では、ゲストハウスで交流人口を呼び込み、シェアハウスで定住人口を増やし、カフェバーをすることで、観光客、移住者、地域住民が交わる場所をつくるというビジネスプランを発表し、5月にゲストハウスとシェアハウスをオープン。カフェバーは10月にオープンする予定で準備を進めている。」
「たなべ未来創造塾に参加し、いろんな気づき、出会いがあった。2期生の皆さんは期待と不安が入り混じっていると思うが、大丈夫。講義や懇親会を通じて1期生同士が仲良くなり、刺激し合いながら、素晴らしい宝物ができた。」
「田辺で同世代、異業種でこんなに頑張っている人がいることにびっくりした。1期生の皆さんと出会えたことはいい刺激になった。
いろんな講師の話を聞くと、新しいことにチャレンジするときは、苦労しながら作り上げていると感じた。やって失敗するよりも、やらなくて後悔するほうが大失敗だと思う。是非、チャレンジしてほしい。」と熱いエールを送った。
富山大学理事・副学長 鈴木基史氏 |
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富山大学鈴木理事・副学長が「1期生は、たなべ未来創造塾の取組を通じて大きく成長した。2期生の皆さんもこうなると確信している。地方創生に向けたこうした取組は全国から注目されている。
皆さんもその流れの中にいることを自覚してもらいたい。ただ儲ければ良いというものではない。地域を活性化し、同時に自分も生き残る。これがCSV、共通価値の創造。夢を持って半年間頑張って頂きたい。」と締めくくった。