たなべ未来創造塾
未来デザイン

事業レポートReport

たなべ未来創造塾 3日目 地方創生から考える地域課題と地域活性化

2016年8月20日
日時 :平成28年8月20日(土)14:00~17:00
会場 :田辺市文化交流センター たなべる 2階大会議室

地方創生とは何か。「人口減少」という大きな地域課題を深く掘り下げる中で、その課題解決のために、自分の企業で何ができるのか、ビジネスチャンスはどこにあるのかを探った。

講義 地方創生から考える地域課題と地域活性化

講師 :(株)日本能率協会総合研究所 塩見一三男 氏
たなべ未来創造塾 2日目 地域活性化論①

田辺市の総合戦略策定業務を受託した経験から、田辺市の現状を踏まえたうえで、地方創生に関する国の方向性や政策を交えながら、国の資金や情報が提供される今が地方にとって大きなビジネスチャンスであるとし、田辺市においてどのように人口減少が進み、地域にどのような影響を及ぼすのかについて、田辺市の人口ビジョンを中心としながら説明した。

田辺市では、自然減と社会減をあわせて年間700人が減少し、その中でも特に15歳~24歳までの年代で大きく社会減となり、8割は近畿地方、うち5割は和歌山県内に転出している状況である。こうした中、高校生にアンケート調査を実施したところ、大学進学希望者のうち約3割は「戻るつもりはない」と答え、その理由として「やりたい仕事がないから」という回答が多かったことを挙げ、高校卒業後の進学や就職で都会に出ていくことはある程度やむを得ないことであり、人口減少に歯止めをかけるためには、むしろ都会で様々な経験を積んだうえで、しかるべき時期にUターンしてもらえるような取組を検討することも必要であるとした。

将来人口推計では、田辺市の人口は2010年現在の79,119名から2060年には40,122名まで減少するとともに、65歳以上の高齢者は40%を超え、15~64歳の生産年齢人口とほぼ同水準となることが予測されている。また、将来推計人口メッシュを見ると、旧町村部では将来的に非居住となる地域が多数みられ、2060年には2010年の約3分の1にまで減少してしまうというという衝撃的な数値も示され、こうした中でどのようなビジネスができるのかを考える必要があると説いた。

また、田辺市は、域内市場産業が多いという経済構造を有しているため、人口減少は地域経済に与える影響が大きいとしながら、労働力不足や生活環境の悪化、教育・医療・福祉、立地されるサービス施設や都市戦略など、地域全体に影響を与える大きな課題であるとし、さらに、RESASを使った地域経済分析では、田辺市は観光産業を中心として外貨を稼いでいるものの、市外に発注している流出額が多いことから、地域の中でビジネスとして循環させることができればとその重要性を示した。

また、課題解決に向けた具体的な事例として、地域商社やリノベーション、地域運営組織、エリアマネジメントなど、田辺市の特性や強みからビジネスチャンスとなる可能性のある事業を挙げ、講義を終えた。

ディスカッション

論点① :地域課題とは(人口減少で市街地、山村地域はどうなるか)
論点② :その課題解決のために、自分の企業で何ができるか)
たなべ未来創造塾 2日目 地域活性化論①

人口減少が進むと、内需に依存した企業は売り上げが減少することはもちろんのこと、労働力(担い手)の不足や鳥獣害や遊休農地の増加、病院・保育所・学校が地域からなくなるなど、地域全体に様々な影響を及ぼすことを塾生それぞれが認識した。

そのうえで、こうした課題を解決するために、自分の企業で何ができるか、どこにビジネスチャンスがあるのかを探り、3日目の講義を終えた。