たなべ未来創造塾
未来デザイン

事業レポートReport

たなべ未来創造塾 9日目 「地域課題解決型ビジネス」

2016年11月19日
日時 :平成28年11月19日(土)14:00~17:00
会場 :たなべる 2階 大会議室

田辺市における地域課題の重要な視点の一つである「高齢化」をテーマに、このことにより、地域はどのように変化するのか、どこにビジネスチャンスがあるのかを探った。

講義 「超高齢社会ビジネスの可能性~介護保険はオワコンなのか~」

講師 :サーチ&コンサルティング
:社会政策部長 上席主任研究員 岩名礼介 氏
地域再生システム概論・演習

日本では、これまで、一番のボリュームゾーンである「団塊の世代」をターゲットにしたビジネスが数々展開されてきた。 常に「団塊の世代」が何を求めているかということを考えながら、業態を変化させてきたのだ。こうした中、「団塊の世代」は、60歳半ばを迎え、何を求めているのだろうか。

今の60歳半ばは、見た目も若く、元気で、しかも十分な貯蓄があるため、旅行や食事などにお金を使っている。 しかし、私たちが考えなければならないのは、10年後、「団塊の世代」が70歳半ばになった時、何を買いそうかと予測することが重要であると語った。

あと10年経つと、「団塊の世代」は後期高齢者となり、介護が必要となるケースが徐々に増え、旅行や食事など趣味嗜好にお金を使うことが少なくなる。今後、「団塊の世代」が求めるものは短期間で大きく変化するというのだ。75歳以上の後期高齢者は2030年頃をピークに、その後、緩やかに減少していく。それに対して、15~64歳の生産年齢人口は大幅に減少。少ない人数で75歳以上の後期高齢者を支えなければならない状況が生じる。

そのため、国は「ロールシフト」という考え方を明確に打ち出し、医師や看護職、介護職の役割を少しずつシフトし、担い手不足を補おうとしている。その結果、これまで介護職が中心に担ってきた買物、調理、掃除などの生活支援の領域に携わる人がいなくなってしまうことから、専門職以外の人たちが少しずつ支える側にまわることが重要であり、そこにビジネスチャンスがあると説いた。

要介護者の場合は、支援が必要となる部分が大きいため、介護保険サービスとして対応することが必要となるが、要支援者は少し支援するだけで生活を維持することができる。要支援者が必要としているサービスは掃除、買物、調理。誰かが小さくサポートすれば、担い手不足を補える可能性があるとした。しかし、サービスには幅があり、ビジネスとして成り立つ可能性のある部分からボランティアや助け合いの領域までビジネスであれ、ボランティアであれ、新しいものを生み出すのに必要な視点は変わらない。このままでは生き残れないのではないかと「危機感」を持ち、客観的な「情報」を集め、それを「知る」こと。こうした考えと行動が重要であるとした。

さらに、全国の取組事例を紹介しながら、今どこがねらい目で、どこが足りないのかは地域のアセスメントが必要で、人が実際に行動に移すためには動機づけが重要であるとし、講義を終えた。

質問&ディスカッション

高齢化と経済はいかにすれば結びつくのだろうか。 要支援者が必要としている生活支援の領域は現実的にはビジネスに直結することが難しいと言われている。

しかし、生活支援の取組が、コミュニティを形成し、高齢者との信頼関係を構築する架け橋となり、そこに経済行動に結びつける仕組みを組み合わせることができれば、ビジネスとの両立は可能ではないかと議論し、9日目の講義を終えた。