魚津三太郎塾第5期
魚津市/富山大学

事業レポートReport

魚津三太郎塾第5期3日目

2016年4月22日
導入講座
開催日時:平成28年4月22日(金)14:00〜17:00
場所:魚津市埋没林博物館研修室

魚津三太郎塾第5期の3日目が開講。導入講座として,本塾の概要や目標,カリキュラムイメージについてのオリエンテーションが行われた。また,今後本塾で取り組む基本となる考え方の導入要素となる「環境と経済の両立による地域づくりと企業行動」についてを地域再生システム概論として学んだ。

3日目 第4限講義

オリエンテーション 魚津三太郎塾について
〜第5期開講にあたり〜
講師:魚津市企画政策課地域資源推進班 前田久則氏
魚津三太郎塾第5期3日目

第5期開講にあたり,魚津三太郎塾についての詳細な説明がおこなわれた。前田氏自身の自己紹介の後,本塾開塾の背景と目指す目的について説明。世界的に自然環境への関心が高まり企業・地域の価値に環境力が謳われる近年,人口減少・少子高齢化といった地域課題,個々の企業が抱える問題の解決に向けて,魚津の特徴ある自然環境や資源を活用して経済と環境を両立させ,魚津の将来を担う企業人・地域リーダーの育成を目的とし,自ら考え行動する人材の育成を目標としたディスカッション中心のカリキュラムで産官学金が連携した学びの場として位置づけ,塾生一人ひとりが魚津の地域課題と企業の営利活動の共通項を探し出し,実行する地域プロジェクトの創造が目標であると説明。

目標達成の手段として,主テーマを「魚津の水循環」とした講義とディスカッションを8月まで12コマ,9月から10月にかけ演習やミニゼミを開催し,11月のポスター発表を行い修了する本塾カリキュラムの流れを説明。改めて,受講の心構えとして「時間厳守」「各自でメモを取る」「自ら考え行動する」ことをあげ,他者批判や無い物ねだりで終始するのではなく,課題を挙げ具体的に自分なら何をするか考える人材となってもらいたいと話し,塾内でのディスカッションルールとして「質問前に社名・名前を述べること」「最初に一言で要点を話しその後は簡潔に質問する」「他者意見を批判せず肯定的に前向きに捉える」「追加・発展は歓迎」「講師と塾生だけでなく塾生間やオブザーバーとの議論も交わす」ことを守り講義に臨んで欲しいと説明があった。また,最終ポスター作成のための演習シートの使い方についても説明した。

主テーマである「魚津の水循環」について魚津の立地環境・地形を説明。魚津三大奇観である「蜃気楼」「魚津埋没林」「ホタルイカ群雄海面」はいずれも水に関わるモノであると紹介し,魚津は「日本・世界の縮図」であり魚津の自然環境を守る取組は世界の自然を守る方法のモデルになりえると話した。本塾カリキュラムのイメージとして前年度第4期の講義内容で,開講式から修了式までの流れ紹介。受講に際しての視点のキーワードとして「環境ビジネス」「社会的課題」「地域的課題」「価値の創造」の4つについて説明した。さらに,これまでの修了生の動きとして塾生修了生により設立された魚津三太郎倶楽部のギフトカタログの取り組みを紹介した。最後に第5期生塾生に対して,何をすれば自分の企業が生き残れるか,自社の強み,自身の特技はなにか,自社のある地域のことを知り,将来の魚津地域をイメージしてドコのレベルの企業を目指すかということを常に意識して講義やディスカッションに臨んで欲しいと話した。

最後に,新川インフォメーションセンターが制作して地元ケーブルテレビで放送された番組のVTRを視聴。第1期修了生を取材し,修了後の様子や事業経過の紹介と魚津三太郎塾の概要を報じた番組の映像を通じて,塾生たちが今後本塾で学び取り組んだ先にある自らの姿を重ね合わせた。

3日目 第5限講義 

地域再生システム概論
環境と経済の両立による地域づくりと企業行動
講師:富山大学地域連携推進機構 教授 金岡省吾氏
魚津三太郎塾第5期3日目

冒頭,金岡教授の自己紹介と,ビジネス手法による地域課題解決する地域プロジェクトを展開させることを目標に,環境を守り・育み・活用することで企業の繁栄を考えることに一緒に取り組んでいく本塾の考えを説明。

地域課題をビジネスで解決するとはどういうことか,環境と経済の両立とは何かをキーワードをあげ解説し,地域課題解決への新たな地域経営により持続的な環境保持と自然の恩恵を受けた経済活動の可能性を説いた。地域課題解決をビジネスで取り組む事例のケーススタディとして,兵庫県豊岡市のコウノトリの保護と環境を柱にした経済戦略について紹介。コウノトリの野生復帰へ向けた生息環境づくり,共生する環境づくり,コウノトリ農法の取り組みに消費者が反応し農作物の付加価値が上がったこと,観光客等交流人口が増加,環境を良くする活動で地域経済を刺激し環境と経済が共鳴する地域を形成し,経済効果により環境への取組みを持続可能にし,環境を生かして経済的に自立させ,地域に誇りを持たせた豊岡市の環境経済戦略を説明した。

また,環境の捉え方について,持続的な利用可能範囲で人間の手を加えて管理する「保全」と自然環境に手を一切加えず開発行為から守る「保護」の違いについて説明。さらに,企業が自社の技術を活用した環境ビジネスとしてバイオマス炭化装置を開発し,森林間伐材を木炭化しそれを利用してメロン栽培した「カーボンオフセットメロン」の事例を紹介。自社技術を環境保全へ活用し,地域活性化を考えた「モノづくり」と「地域づくり」の仕組みが掛け合わさり新たなビジネスとして成立した事例として説明した。

続いて富山県内での環境を地域ビジネスに活用した事例として,木材の循環を考えた100年住宅の理論やでんき宇奈月プロジェクトの取り組み、土遊野やYKKの取り組みを紹介し,環境と経済活動との関わりについて講じた。経営学者のマイケル・E・ポーターが提唱する共通価値の創造(CSV)について触れ,従来型の受け身であったCSRから戦略的CSRへと変化し,共有価値の戦略という新たな資本主義が登場したと説明。みんなで地域課題を一緒に考え、企業と社会の共有価値をビジネスにするという地域課題や社会課題解決が新しいビジネスを生み出すと話した。最後に,他大学による地域活性化の事例として東北大学地域イノベーション研究センターの取り組みも紹介。富山大学と魚津三太郎塾では「地域イノベーション」「まちづくり」「地方創生」という最先端のことを,早い時期から取り組んでいることを説明し,地域課題や社会課題を解決し企業と社会の共有価値を新しいビジネスにするという最先端のことにこれから塾生の皆さんと一緒に取り組んでいくと話した。

3日目 第6限

ディスカッション
水循環を守り・育み×活用による魚津の活性化とは如何に
魚津三太郎塾第5期3日目

参加塾生8名から,本日のオリエンテーションや講義を聞いての質問や感想,塾への思い・参加動機など全員から発言を求めディスカッションをおこなった。各塾生からは,講義の中での用語や事例に関しての質問や地域循環についての考え方,環境と経済の両立についての捉え方について,魚津三太郎塾でやりたいことや塾へ参加しての感想など様々な質疑や意見の交換がおこなわれた。