魚津三太郎塾第5期
魚津市/富山大学

事業レポートReport

魚津三太郎塾第5期5日目

2016年6月3日
魚津水循環コミュニティビジネス起業化概論
開催日時:平成28年6月3日(金)14:00〜17:00
場所:魚津市役所第1会議室

魚津三太郎塾第5期の5日目が開講。魚津水循環コミュニティビジネス起業化概論として,地域課題解決への地域経営を考えた新たな地域づくりとは何かを各地の事例から探り,地域づくりの実践へ向け,地域・企業・住民は何を考えるべきかを考え,地域課題解決をビジネスで取組むという概念を学んだ。

5日目 第8限

講義&討論 魚津水循環コミュニティビジネス起業化概論
地域づくりの最前線 地域づくりと企業行動
 〜小企業,新たな公など地域の取組み〜
 〜地域課題解決をビジネスで〜
講師:富山大学地域連携推進機構 教授 金岡省吾氏
魚津三太郎塾第5期5日目

冒頭,これまで富山大学の地域づくり活動で接点のあった人々を紹介し,地域課題をビジネスで解決するコミュニティビジネス(CB), ソーシャルビジネス(SB)ソーシャルイノベーターなどの用語を解説し,この講義で「地域づくりの実践に向け地域・企業・住民は何を考えるべきかを塾生自身で考えて欲しい」と講義の狙いを説明。

日本の地域づくりの変化について,全国総合開発計画に基づく国主導での均衡ある国土発展から,新たな地域づくりとして国土形成計画に基づき従来の開発だけでない社会的課題を見据えた地域活性化政策,地域資源を活かした地域産業や農山漁村活性化や新たな公,国土の国民的経営による地域づくりへと変化しているとし,地域課題解決への新たな地域経営をしている全国各地の事例を紹介。ソーシャルイノベーターやコミュニティビジネス,地域ビジネスが地方を動かし始め,地域を活性化させ,雇用を創出し地域経済を活性化させることで人口減少という地方の地域課題の克服へ繋げていると話し,国土形成計画が掲げる「新たな公」を基軸にした地域づくりについて説明した。

また,地域課題解決への新たな地域経営をしている全国各地の事例を紹介し,従来の公領域(行政が担う領域)で民間主体で行う事業事例として市民協働での河川敷清掃事業,公的価値を含む私領域の事例として行政も民間主体でも担ってこなかった分野であった福祉交通事業,公と私との中間領域の事例として民間が担う分野での公共的価値を事業にした子育て支援センターを中心商店街の活性化に繋げた事例などを紹介。さらに,人口減少と高齢化が進む農山漁村地域で行政サービス維持の限界が危惧されている中,住民が主体となり自らが協力・協議する住民核組織など様々な主体組織が協議し地域課題解決を図る「新たな結」による地域の活性化についての取り組みの方向性や先駆事例をあげ説明した。地域課題解決をビジネスに繋げている富山県内の事例として医療サービス等と提携した駅前マンション建設やワークショップなどを活用した古いビルのリノベーションの事例等を紹介し,地域の課題を解決すると地域経済がうまく回っていくと話した。

また,マイケル・ポーターとマーク・クラマー共著の「競争優位のCSR戦略」「共通価値の戦略」で提唱している負の連鎖を止めるために受動的CSRから戦略的CSR(企業の社会的責任)への転換についてや製品や市場を見直し産業クラスターを形成しバリューチェーンの生産性を再定義することなどを解説。人口減少や少子高齢化など様々な変化が顕在化する現在,明日の地域づくりはどのように展開すべきか探り,地域づくりの実践に向け地域・企業・住民は何を考えるべきか,地域課題解決への新たな地域経営には地域が自ら学び・考え・身の丈で動くことが重要で,塾生自ら考えて答えを見つけていって欲しいと話した。

質疑応答・討議 

テーマ:地域課題解決への地域経営を考えた地域づくりとは?
論点1:地域が活性化している状態とは?
論点2:地域再生に必要なひと・ものは?

今回の講義を受け質疑と塾生間でディスカッションがおこなわれた。論点に「地域が活性化している状態とはどんな状態か」「地域再生に必要なひと・ものは」の2点に置き,各塾生が自身の考えや意見を述べあった。

塾生の本業での課題や地域課題解決に向け何ができるのか,地域課題解決のための地域経営を考えた地域づくりとは何かを模索しながら,塾生間で意見交換や情報共有を図り,今後の各塾生のビジネスプラン作成への足がかりを掴んだ。