魚津三太郎塾第5期
魚津市/富山大学

事業レポートReport

魚津三太郎塾第5期 10日目

2016年7月29日
ケーススタディ
開催日時:平成28年8月10日(水)14:00〜17:00
場所:魚津市役所第2会議室

魚津三太郎塾第5期の10日目が開講。魚津三太郎塾1期生の魚津印刷・森内将史氏から塾生時代の取り組みと事業展開について話題提供を受け,各塾生が自身ならどの様に行動し対応するかを思考するケーススタディ形式の講義がおこなわれた。

10日目第15限 

ケーススタディ
〜魚津印刷の事例〜
講師:魚津印刷株式会社 森内将史氏
魚津三太郎塾第5期 10日目

魚津三太郎塾1期生時代に企画立案し実行した「にいかわの守紙」事業について話しを聞きながら,各塾生が自分ならどうするかを考えながら意見交換と討議をする形でケーススタディが行われた。

冒頭,森内氏から魚津印刷株式会社の業務内容や従業員数・資本金,事業所や営業エリアなどの企業概要と自身の職種や仕事内容,印刷業界を取り巻く背景や企業課題などについて説明。平成23年10月から24年3月に開講した魚津三太郎塾第1期へ入塾した動機は,担当していた魚津市役所で前田氏から誘われ,軽い気持ちで参加したと話した。

塾生から企業概要についての質疑を受け,印刷業の年間の繁忙期の状況や営業・制作・印刷の作業内容や工程についてや受注状況の推移などについて答えた。魚津三太郎塾の講義や塾生仲間との交流を経て,魚津の水循環を守るためには水源地にあたる森の維持と、そのための安定的な間伐が必要なことや,県内・日本の林業が近年ビジネスとして成り立たなくなり,山林が放置されていること,森林組合が林業維持に努めていることを学び,企業課題と地域の課題を本業の印刷業で解決できる手段を模索したと説明。魚津の間伐材を原料に印刷用紙を製造し,自社の印刷材料にしたいと考えた経緯を説明し,塾生がその立場・その状況ならどのような行動を取るのかを個々の考えを発表。

森内氏自身が取引先の紙問屋への問合せ経緯やその後の製紙メーカーへの直接交渉したことなどを紹介,メーカーでの説明で間伐材の主たる針葉樹は米袋や茶封筒にはできるが印刷用紙には不向きであることがわかり実現が無理な状況になったことを話し,各塾生ならどんな解決方法を考えるかを質問。塾生からアプローチ法や別活用などのアイディアや考えが出された。

森内氏は様々な人に相談し,なぜ無理かを考え調べて,再度アプローチし現状を打開。製紙メーカー・森林組合と概ね調整ができ,塾修了式でポスター発表したこと,その後,製紙メーカーと森林組合,魚津印刷が3社協定を交わし「にいかわの守紙」が誕生したことを紹介。

「にいかわの守紙」は、製紙メーカーが入荷した魚津の間伐材の量に応じて、製造した紙に間伐材が配合されているとみなすクレジット方式で流通量を増やす試みで,魚津印刷と新川森林組合,中越パルプ工業(製紙メーカー)が協定を結んで取り組み,その紙を魚津印刷が買い取る形で,従来の紙流通経路を維持するシステムを構築していることなどを説明した。

ここで,印刷用紙の流通で製紙メーカーから卸業者・仲卸業者を経由して魚津印刷に納品される流通ルートを維持して「にいかわの守紙」を互いの利害関係を考慮して自社へ仕入れるためにどのような行動を各塾生ならとるかを討議,サプライチェーンの特色やメリット・デメリットも含め意見交換された。にいかわの守紙が誕生して,魚津印刷の営業の武器として他社との差別化や企業イメージの向上につながり,市広報はじめ市の出版物,環境配慮企業のチラシやパンフに採用され,一定の販売量があり魚津の間伐材活用に貢献できたと説明し,今後の取り組みについても塾生で討議した。