微量成分の分離濃縮・定量法の開発 研究とその応用
(この研究は加賀谷准教授が進めています)
◆ 成分分離・濃縮(共沈・沈殿)
微量成分を定量するためには,成分分離・濃縮技術は不可欠です。我々 は「共沈」現象や「沈殿」反応を利用した成分分離・濃縮法の確立を目指しています。確立した方法は,各種分析,廃液・廃棄物処理,再資源化技術に応用して います。以下の4つの視点から研究を進めています。
★本 研究の一部が,富山大学機器分析センター報に掲載されました。詳細...>
Focus 1:選択的共沈剤の開発 共沈とは,溶液中である成分が沈殿する際に,本来その条 件では沈殿しない成分が共に沈殿してくる現象のことをいい,これを微量成分の分離濃縮に応用したのが共沈法です。この方法は,多くの元素が水酸化物や硫化 物として沈殿することから,多元素同時濃縮に有用と認識されており,特定元素の選択的な分離濃縮は不得意でした。我々は,共沈剤にいくつかの金属リン酸塩 を用いると元素捕集に選択性が発現することを見出しました。現在,様々な金属リン酸塩への微量元素の共沈挙動を明らかにすると共に,その選択性発現機構に ついて研究を進めています。
Focus 1:選択的共沈剤の開発
共沈とは,溶液中である成分が沈殿する際に,本来その条 件では沈殿しない成分が共に沈殿してくる現象のことをいい,これを微量成分の分離濃縮に応用したのが共沈法です。この方法は,多くの元素が水酸化物や硫化 物として沈殿することから,多元素同時濃縮に有用と認識されており,特定元素の選択的な分離濃縮は不得意でした。我々は,共沈剤にいくつかの金属リン酸塩 を用いると元素捕集に選択性が発現することを見出しました。現在,様々な金属リン酸塩への微量元素の共沈挙動を明らかにすると共に,その選択性発現機構に ついて研究を進めています。
A1101> リン酸ガリウム共沈法 A1102> リン酸ランタン共沈法 A1103> リン酸イットリウム共沈法
A1101> リン酸ガリウム共沈法
A1102> リン酸ランタン共沈法
A1103> リン酸イットリウム共沈法
Focus 2:迅速分離濃縮技術の開発 共沈法では,目的元素 を沈殿に捕集するので,この沈殿をすべて回収する必要があります。しかし,この操作は煩雑であるため若干の熟練を要し,また長時間を要してしまうことが問 題でした。この点について我々は,沈殿の完全な回収を必要としない迅速共沈法を開発しました。さらに方法の改良,応用を進めています。 A1201> 迅速共沈法 A1202> 内部標準併用−迅速共沈法 A1203> 迅速沈殿−凝集法
Focus 2:迅速分離濃縮技術の開発
共沈法では,目的元素 を沈殿に捕集するので,この沈殿をすべて回収する必要があります。しかし,この操作は煩雑であるため若干の熟練を要し,また長時間を要してしまうことが問 題でした。この点について我々は,沈殿の完全な回収を必要としない迅速共沈法を開発しました。さらに方法の改良,応用を進めています。
A1201> 迅速共沈法 A1202> 内部標準併用−迅速共沈法 A1203> 迅速沈殿−凝集法
A1201> 迅速共沈法
A1202> 内部標準併用−迅速共沈法
A1203> 迅速沈殿−凝集法
Focus 3:多元素同時分離濃縮法の開発 多元素同時濃縮法とし て認知されている共沈法ですが,たとえば共存成分濃度の高い試料から水質環境基準や排水基準で規制されている元素を同時に濃縮できる共沈剤はほとんどあり ません。我々は,捕集できる元素のみを分離濃縮する共沈法・沈殿法ではなく,必要な元素を分離濃縮できる共沈法・沈殿法の開発を目指しています。 A1301> 水酸化物共沈法 A1302> 硫化物沈殿法
Focus 3:多元素同時分離濃縮法の開発
多元素同時濃縮法とし て認知されている共沈法ですが,たとえば共存成分濃度の高い試料から水質環境基準や排水基準で規制されている元素を同時に濃縮できる共沈剤はほとんどあり ません。我々は,捕集できる元素のみを分離濃縮する共沈法・沈殿法ではなく,必要な元素を分離濃縮できる共沈法・沈殿法の開発を目指しています。
A1301> 水酸化物共沈法 A1302> 硫化物沈殿法
A1301> 水酸化物共沈法
A1302> 硫化物沈殿法
Focus 4:試薬の探索 共沈法,沈殿法に有用 な試薬の探索を行っています。
Focus 4:試薬の探索
共沈法,沈殿法に有用 な試薬の探索を行っています。
◆ 成分分離・濃縮(吸着・抽出)
我々は「吸着」や「錯形 成」を利用した成分分離・濃縮法の確立も目指しています。吸着法は,回分式(batch式)操作だけでなく連続式(flow式)操作にも適用できることか ら,分析,廃液処理,再資源化に有用な技術です。
Focus 1:重金属吸着剤・捕集剤の開発 吸着法では,目的成分 の捕集選択性,捕集効率,捕集時間が重要です。我々は,高分子配位子を用いることで選択性が発現されることを見出し,各種機能性高分子の元素捕集特性につ いて詳細に研究しています。また,金属錯体や無機化合物の元素吸着・捕集特性についても研究を進めています。 A2101> ピリジルアミノオリゴマー 固定化 ポリスチレン:金の選択的吸着剤 A2102> ポリチオアミド:有価金属 の吸着 剤 A2103> トリス(ジエチルジチオカルバマ ト)マンガン(III):鉛の捕集剤
Focus 1:重金属吸着剤・捕集剤の開発
吸着法では,目的成分 の捕集選択性,捕集効率,捕集時間が重要です。我々は,高分子配位子を用いることで選択性が発現されることを見出し,各種機能性高分子の元素捕集特性につ いて詳細に研究しています。また,金属錯体や無機化合物の元素吸着・捕集特性についても研究を進めています。
A2101> ピリジルアミノオリゴマー 固定化 ポリスチレン:金の選択的吸着剤 A2102> ポリチオアミド:有価金属 の吸着 剤 A2103> トリス(ジエチルジチオカルバマ ト)マンガン(III):鉛の捕集剤
A2101> ピリジルアミノオリゴマー 固定化 ポリスチレン:金の選択的吸着剤
A2102> ポリチオアミド:有価金属 の吸着 剤
A2103> トリス(ジエチルジチオカルバマ ト)マンガン(III):鉛の捕集剤
◆ 実試料分析法
成分分離・濃縮法に関する 基礎的研究をもとに,様々な試料を対象とした微量成分分離濃縮・定量法を開発し,実試料分析に応用することを目指し,以下の4つの視点から研究を進めてい ます。
Focus 1:環境分析 現在は「名水」で有名 な富山も,一昔前までは「神通川流域におけるカドミウム汚染」で有名だったことは皆さんご存知でしょう。このような惨事を二度と引き起こさないために,環 境中の微量成分濃度を計測,監視することは重要だと考えています。我々は,河川,降水,地下水(温泉水)などを中心とした環境中の微量成分を分離濃縮し, 定量する方法の開発を行っています。 B1101> 河川水中超微量カドミウムの迅速 濃縮・定量法 B1102> 降水中超微量水銀の濃 縮・定量法 B1103> 水中微量タリウムの迅速濃 縮・定 量法 B1104> ヘッドスペース-ガスクロマトグ ラフ質量分析による河川水中のVOCsの定量法
Focus 1:環境分析
現在は「名水」で有名 な富山も,一昔前までは「神通川流域におけるカドミウム汚染」で有名だったことは皆さんご存知でしょう。このような惨事を二度と引き起こさないために,環 境中の微量成分濃度を計測,監視することは重要だと考えています。我々は,河川,降水,地下水(温泉水)などを中心とした環境中の微量成分を分離濃縮し, 定量する方法の開発を行っています。
B1101> 河川水中超微量カドミウムの迅速 濃縮・定量法 B1102> 降水中超微量水銀の濃 縮・定量法 B1103> 水中微量タリウムの迅速濃 縮・定 量法 B1104> ヘッドスペース-ガスクロマトグ ラフ質量分析による河川水中のVOCsの定量法
B1101> 河川水中超微量カドミウムの迅速 濃縮・定量法
B1102> 降水中超微量水銀の濃 縮・定量法
B1103> 水中微量タリウムの迅速濃 縮・定 量法
B1104> ヘッドスペース-ガスクロマトグ ラフ質量分析による河川水中のVOCsの定量法
Focus 2:排水分析 水環境中に有害成分が 排出されていないことを確かめるためには,排水を採水し,様々な方法で分析しなければなりません。もし有害成分が大量に検出されたら...排水は止まって くれませんので,分析に長時間を要するのでは大変なことになってしまいます。我々は迅速・簡便な排水分析法を開発し排水分析時間の短縮を目指しています。 B1201> 迅速共沈濃縮・原子吸光分析によ る微量鉛の定量法 B1202> 内部標準併用迅速共沈濃 縮・原子 吸光分析による微量鉛及び微量鉄の定量法 B1203> 硫化物イオンによる妨害を 受けな い全水銀の迅速定量法 B1204> 排水中規制元素の同時定量法 B1104> ヘッドスペース-ガスクロマトグ ラフ質量分析による排水中のVOCsの定量法
Focus 2:排水分析
水環境中に有害成分が 排出されていないことを確かめるためには,排水を採水し,様々な方法で分析しなければなりません。もし有害成分が大量に検出されたら...排水は止まって くれませんので,分析に長時間を要するのでは大変なことになってしまいます。我々は迅速・簡便な排水分析法を開発し排水分析時間の短縮を目指しています。
B1201> 迅速共沈濃縮・原子吸光分析によ る微量鉛の定量法 B1202> 内部標準併用迅速共沈濃 縮・原子 吸光分析による微量鉛及び微量鉄の定量法 B1203> 硫化物イオンによる妨害を 受けな い全水銀の迅速定量法 B1204> 排水中規制元素の同時定量法 B1104> ヘッドスペース-ガスクロマトグ ラフ質量分析による排水中のVOCsの定量法
B1201> 迅速共沈濃縮・原子吸光分析によ る微量鉛の定量法
B1202> 内部標準併用迅速共沈濃 縮・原子 吸光分析による微量鉛及び微量鉄の定量法
B1203> 硫化物イオンによる妨害を 受けな い全水銀の迅速定量法
B1204> 排水中規制元素の同時定量法
B1104> ヘッドスペース-ガスクロマトグ ラフ質量分析による排水中のVOCsの定量法
Focus 3:材料分析 近年,技術水準の向上 により,材料・原料に対する純度の要求が高まっています。正確な不純物濃度を求めるためには,材料・原料の主成分の影響を排除するため,選択的な不純物分 離技術が必要となります。我々は,基礎的研究の結果をもとに,無機材料・原料中の微量不純物元素の分離・定量法を開発しています。 B1301> 重金属塩中不純物の鉛, 鉄,ビス マスの選択的分離・定量法 B1302> 鉄マトリックス中微量鉛の 分離・ 定量法
Focus 3:材料分析
近年,技術水準の向上 により,材料・原料に対する純度の要求が高まっています。正確な不純物濃度を求めるためには,材料・原料の主成分の影響を排除するため,選択的な不純物分 離技術が必要となります。我々は,基礎的研究の結果をもとに,無機材料・原料中の微量不純物元素の分離・定量法を開発しています。
B1301> 重金属塩中不純物の鉛, 鉄,ビス マスの選択的分離・定量法 B1302> 鉄マトリックス中微量鉛の 分離・ 定量法
B1301> 重金属塩中不純物の鉛, 鉄,ビス マスの選択的分離・定量法
B1302> 鉄マトリックス中微量鉛の 分離・ 定量法
Focus 4:食品分析 人間をはじめとする様 々な生物の生命維持のためには,数多くの元素をバランスよく摂取する必要があります。その供給源となるのは主として食品類(食べ物,飲み物)です。我々 は,生体必須微量元素について注目し,その含有量を計測できる分離・定量法の開発を行っています。また,食品は皆さんの口に入るものですから,有害物質含 有量についても計測できる方法を開発し,食の「安全・安心」に貢献したいと考えています。 B1401> 海洋深層水を原料とした 塩製品の 微量元素含有量の計測法
Focus 4:食品分析
人間をはじめとする様 々な生物の生命維持のためには,数多くの元素をバランスよく摂取する必要があります。その供給源となるのは主として食品類(食べ物,飲み物)です。我々 は,生体必須微量元素について注目し,その含有量を計測できる分離・定量法の開発を行っています。また,食品は皆さんの口に入るものですから,有害物質含 有量についても計測できる方法を開発し,食の「安全・安心」に貢献したいと考えています。
B1401> 海洋深層水を原料とした 塩製品の 微量元素含有量の計測法
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